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「怪我した人いますかー！？」
大声で叫びながらパタパタと走り回る。
「ごめん、いいかな？」
「は、はい！どうしました？」
「うちちょっと気分悪くなって…治せるかな？」
「大丈夫ですよ」
安心させるために笑顔を浮かべ、目に力を入れる。
すると、ぽろぽろと涙が溢れてきた
「えぇっ、大丈夫！？」
「平気、これが個性なの」
涙を人差し指で掬い、その女の子の咥内にポタリと落とす。
「ごめんね、汚いけど…。飲み込んで」
「んっ………す、すごい！すぐ治った！」
「良かったです！では」
他の怪我人を探すため、この場を立とうとするとぐい、と服を引っ張られた。
「あ、あそこに大怪我してる子がおるんよ、その子お願い！」
「わかった、有難うございます」
軽くお辞儀をして、指さされた方へ向かう。
「大丈夫ですよー、今治しますね…っ！？」
大怪我人は、出久だった。
腕が紫に腫れあがり、恐らく骨折しているのだろう。変な方向を向いてしまっている。
出久はうっすら目を開け、私の名を呼んだ。
「Aちゃん…？どうだった、試験」
「そんなことより、今治すから！」
「ごめん…」
「謝らなくていいよ、大丈夫。治るよ」
…これは、血液を使わなきゃダメかな。
そこらへんに落ちていた瓦礫の破片で左腕を掻っ切る。
「Aちゃん、何してるの！？」
「…私の個性なの。黙っててごめん」
血が地面に飛び散る。
「出久、嫌かもしれないけど血を飲んで」
「い、嫌じゃないよ！！寧ろAちゃんこそいいの！？」
「いいの。個性だから」
ずい、と左腕を突き出すと出久は戸惑いながら傷口に口を付けた。
「んっ…」
唾液が傷口に染みて痛いが、耐えられる。大丈夫。
「出久、飲んだ？」
「う、うん。ごめん」
「大丈夫。あとは骨折の疑いがあるから固定するね」
私の服をびりっと破って、落ちていた木材で固定する。
「血液飲んだからすぐ治ると思う。でも怖いから保健室行ってね」
「わかった、ごめんねほんと」
「私、治癒しかできないから」
「ぼ、僕なんか0Pだし、Aちゃんに迷惑かけたし…！」
そんな出久の頬を両手でぱちんと挟む。
「ここは雄英だよ。それに諦めないで。自分の夢でしょ」
「…！うん！」
決心した出久ににっこりと笑いかけ、その他の怪我人を探しまくった。
ちょっとでも合格率が上がるために…！
続く (更新停止中)
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作者名：まる | 作成日時：2018年6月20日 20時
