▷ 幼少期 6 ページ7
「邪魔するぜェ」
突然、バキィッと店の扉が蹴破られ、数十人の柄の悪い男性が店の中に入ってきた。現れるなり、いきなり店の扉を蹴破るような輩が良い人なわけが無い。さっきまで賑わっていた店内が打って変わって静寂に包まれる。
「おれ達は“山賊”だ」
(山賊って、お母さんが言ってた……!)
今朝家を出る前にお母さんが言っていた山賊とは、この人達のことなのだとすぐに察した。人は見た目で判断してはいけないとは言うけれど、さすがにあの人相とたった今起こした行動を見てはどう足掻いても“悪い人”の部類に分けられる人達にしか見れない。
山賊達がマキノさんやシャンクスさんと酒について揉めている最中、私は“どうか自分には被害が来ませんように”と心の中で懸命に祈りながら小さく震えることしか出来なかった。そんな私を知ってか知らずか、隣に座っていたルフィは食べかけの変な見た目の果物を無言で私に差し出した。
食べろってこと……?と、私も無言で目で訴えかけると、ルフィはモグモグと咀嚼しながらこくこくと何度も頷いた。口にはせずとも内心パニックになっていた私にとっては、何かで紛らわせられるのであれば何でも良かった。その珍妙な果物が何なのか、マキノさんから頂いた料理にあったか、なんて考えもせずに残り半分もないその果物にかぶりついた。
(見た目は変だけど、普通の果物の味……)
意識が山賊から果物に移りかけていたとき、バリンッと酒瓶の割れる音が聞こえ、ビクリと肩を揺らした。そして続けざまにカウンターに乗っていたお皿や瓶を山賊が刀を薙ぎ払い、ガシャン!と中身を飛び散らせながら床やカウンターに散乱した。
その際、飛び散ったお酒が服や顔に少しかかったのでビックリしてイスから飛び退いてしまった。すぐ横では頭から酒を被ったシャンクスさんが床に座り込んでいて、何が起きたのか理解が出来なかった。呆然とその場に立ち尽くしているとグイッと後ろから手を引かれた。
私の手を引いた人物はいつもより真剣な表情をしたルフィで、まるで山賊から私を隠すかのように私の前に出た。そして山賊は何の抵抗もしないシャンクスさん達を「腰ヌケ共」と一方的に罵倒して店を出ていった。
今まで黙っていたルフィは一切の抵抗もしなかったシャンクスさんに「海賊じゃないっ!」と怒鳴って店を出ようとしたが、それを引き止めるようにシャンクスさんがルフィの腕を掴むと__
「……ん?」
__ルフィの腕が、びよーんと伸びた。
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