【ONEPIECE】ごめん、離せない。 (ページ5)

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▷ 幼少期５ページ5

ルフィは頬の傷を手当されるも、目に水の膜を張りながら「いたくない！」と強がりを見せていた。私はその横に立って痛そうな傷を負ったルフィを見守っていた。事が終わってから、ルフィが企んでいたのはこれだったんだ、とようやく気づく。

何かを企んでいることは察していたのにも関わらず止められなかったことに責任を感じてしまい、ルフィに一向に声がかけられなかった。船員達はルフィのまさかの根性を見せられ気分が良くなったのか、また昼間から酒を酌み交わしている。

ただ、シャンクスさんだけは無茶をしたルフィを「バカなことすんじゃねェ！！」と叱りつけていた。どうしてそこまでルフィは海賊になりたいんだろう。痛い思いをして、無茶をしてまで海賊になりたいだなんて相当だ。

「で、でもルフィ……泳げないのに海賊になるなんて、平気なの……？」

「ゔっ」

「だっはっは！！言われてるぞルフィ！まだ泳げるAの方が海賊に向いてるかもなあ？」

「ぐぬぬ……カナヅチでも船から落ちなければいいじゃないか！それに戦ってもおれは強いんだ！Aよりも、ずーーーっとな！！」

「そりゃお前、Aより弱かったら男としてメンツが丸潰れだろ」

何を言ってもシャンクスさんに認めて貰えないことにルフィは気を悪くする。他の船員達がルフィを航海に連れて行ってやっても良いだろ、と言うがシャンクスさんはそれも認めず、ますますルフィの機嫌は悪くなっていく。

「それにルフィ。お前が海に出たらAはどうすんだあ？お前が守るんじゃなかったのか？」

「そっ、それは……。Aはおれが守る……けど、航海にも行きたいっ！！」

「変なこと言うなよ。航海しながらAは守れねえだろ？」

「じゃあ……Aも航海に連れていく！！」

「ごほごほッ…………えっ？」

大好きなオレンジジュースを飲んでいた最中に隣から聞こえてきたその言葉に、私は思わず噎せながら聞き返してしまう。ルフィは憎めないような輝かしい笑顔を私に向けると、名案！とでも言わんばかりに口を開く。

「なっ！Aも一緒に海賊になれば、おれが1番近くでお前を守れるだろ？」

……やっぱり、分からない。どうしてルフィはこんな鈍臭いだけの私を航海に連れて行ってまで一緒にいたがるのか。それはいくら考えても答えは出てこない難解な謎で、とても困惑してしまったけれど、ルフィがそう言ってくれたことがなぜか嬉しくて、私は否定も肯定もすることができなかった。