【ONEPIECE】ごめん、離せない。 (ページ30)

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▷ 爆音ページ30

＿＿ドゴォンッ、と鼓膜が破裂しそうな爆音と体が吹き飛ばされ、宙に浮く浮遊感で目を覚ました。

「ぐえっ！！」
「ぎゃあっ！！！」

ドサリ、と投げ出された体が落下したかと思えば、硬い地面ではなく少し柔らかい物の上に落ちていた。しかし落ちた時の衝撃はあり、女っ気もない呻き声をあげると体の下からほぼ同時に呻き声が聞こえてきた。それに違和感を感じて下を向くと、ピンクの髪の毛の小柄な男の子が私の下敷きになって目を回していた。

「えっ！？ウソやだっ！大丈夫！？」

すぐさま彼の上から退いて、ぐるぐると目を回している彼に呼びかける。その時、私達のすぐそばに落ちていた酒樽からひょこっとルフィが顔を出し、「びっくりしたな〜」と呑気な言葉を発する。状況が飲み込めていない私は、ルフィに人を殺してしまったかもしれないと泣きつくと、ルフィは倒れている彼を一瞥して「そんな簡単に死なねえよ」と軽く笑い飛ばした。

こちらからしたら少しも笑い事じゃない。お母さんと絶対に死なないと約束したはいいものの、殺人者になって帰ってきてしまったらお母さんもショックで死んでしまう。お願いだから目を覚まして……と願いながら目を閉じて眠っている男の子の頬に手を添えた時、彼の瞼がピクリと震え、ゆっくりと開かれた。

「あれ……ぼくは一体……」

「ああ〜〜〜！！良かった、目を覚ましてくれて！！」

「ひえっ！？お、女の子！？」

彼は私の顔を見るなり飛び起きて後退りしてしまう。あなたの上に落ちてしまったの、と事情を説明すると、彼は「そうだ、アルビダ様に……」と青い顔をして呟いた。アルビダ様、という初めて聞く名前に首を傾げる。すると彼はルフィの存在に気づき、2人は会話を始めた。

「ぼ、ぼくの名前はコビーといいます……」

自己紹介から切り出された彼＿＿コビー君の話によると、大渦に巻き込まれ酒樽に入ったまま気絶していた私達は、“アルビダ”という女海賊の船に拾われた。だが、ルフィの存在に気づいたアルビダにここまで殴り飛ばされてしまったそうだ。その話を聞いて、ようやく自分の体が宙に浮いて落下した理由が分かった。コビー君の上に落ちていなかったら今頃動けなくなっていたかもしれない。彼に感謝しないと。

コビー君は運悪くアルビダの船に乗せられ、今までずっと雑用係としてこき使われていたそうだ。聞いているだけで災難な話なのに、ルフィは笑いながら彼を根性がなさそうだから嫌いだと言い放った。