【ONEPIECE】ごめん、離せない。 (ページ27)

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▷ 出航の時６ページ27

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「おれの仲間に、手ェ出してんじゃねぇええっ！！！」

ドガンッ！と殴りつけるような大きな音が耳に届く前に耳元で聞こえた、どこか聞き覚えのある声に、咄嗟に閉じていた瞼をパッと見開いていた。視界に飛び込んできた光景は目を疑うもので、辺り一体に砂埃が巻き上がっているかと思えば、さっきまで目の前に佇んでいた大熊は数メートル先の大木に叩きつけられた状態で気絶していた。あの凶暴な生き物が、瞼を閉じたほんの一瞬の間に倒されてしまったことに衝撃を隠せない。

そして、あの大熊を倒し、今まさに私の体を抱き寄せている人物である彼の顔を見上げた。

「＿＿＿＿る、ルフィ……？」

私よりもほんの少し小さかったはずの背は、ゆうに私を越していた。10年前、シャンクスさん達との別れ際に彼から譲り受けた麦わら帽子。麦わら帽子の中から伸びる黒髪。左目の下についた傷跡。

「すんげえ久しぶりだなあ！Aーー！！」

あの頃の輝きをそのまま残したような黒く綺麗な双眸が、私を見つめていた。

にしし！と浮かべた満面の笑みは幼い頃とちっとも変わらない。姿格好は変わっても、約束を交わしたあの日の面影を残しているルフィの姿に酷く安堵した。もし、もしもルフィが別人のようになってしまっていたらと、すごく不安だった。しかしそれを“要らぬ心配”だとでもいうように彼はそこに存在している。意図せず、こぼれ落ちそうになった涙に自分自身でも驚きを隠せず、服の袖で拭うとルフィは「なっ、なんで泣くんだ！？」と慌てふためく。

そんな彼の様子が面白くて、思わずふふっと小さく笑みをこぼすと、ルフィは尚更訳が分からなそうに首を傾げた。

「つーかA！来んの遅えよぉ。おれ2、3日は待ったんだぞ！」

「えっ、待っててくれたんだ……」

「当たり前だろ。“約束”したの忘れたのか？」

「……ううん。忘れてない。忘れてたら、ここにいないよ。ただ、ルフィが10年も前にした約束を覚えててくれたことが嬉しかったの」

言葉にするのはほんの少し恥ずかしかったけど、こればかりは直接言葉にして伝えたかった。はにかみながら口にすると、ルフィは笑いだす。

「ンな心配しなくてもお前との約束、忘れた日なんてなかったぞ！」

＿＿私達の航海が、始まる。

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