【ONEPIECE】ごめん、離せない。 (ページ21)

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▷ 魂のお見合い破局大作戦４ページ21

お見合いの一件から酒屋の彼ともお母さんとも、いつも通りに接することができず、僅かな心の距離を感じていた。お互いに顔色を伺いながら過ごす時間が増え、ルフィと共に海賊になると言うことも言えずに時間は過ぎていき、5月に突入した。もう目と鼻の前に迫り来ているルフィの17の歳。もういっそのこと、何も言わずに家を出てしまえばいいかと思い始めてしまう。

(でも、そうしたらお母さん……凄く心配するんだろうな)

＿＿私のお父さんは、物心つく前に既に亡くなっている。交友関係が広く、お母さんと出会う前は色んな街を旅していたらしい。そして偶然とある街で出会ったお母さんに一目惚れをし、お母さんもまた、自分に好意を寄せるお父さんに次第に惹かれていき2人は恋に落ちた。お母さんと夫婦になった後は、お父さんも長年続けていた旅に終止符を打った。……そして、私が生まれた。

お父さんの死因は事故死だと聞いている。とある嵐の日、親の言いつけを破って好奇心から荒れ狂う海の様子を見に行った子供が波に攫われそうになり、真っ先に子供を発見したお父さんが間一髪で波から子供を助けたのだが、砂に足を取られてしまいそのまま海に流されてしまったらしい。子供を助けて自分が命を落とすなんて、自分の父親ながらだいぶぶっ飛んだことをする人だなと思った。

その為、私はお父さんの顔を直接見たこともなければその声を聞いたこともない。何年か前に一度だけ、若い頃のお父さんが写った写真をお母さんが見せてくれたことがあるけど、写真に写ったお父さんを見る顔があまりにも哀しげで、お母さんのそんな顔がもう見たくなくて、結局私が写真を見たのはその一度きりだけ。

……だからお母さんは私に優しい。優しすぎるあまり、私が“幸せになること”を願い過ぎて、時々ネジが外れたように強引になる。今回で言う、お見合い相手と何としてでもくっついて欲しいと、当人である私を置いてきぼりにして熱中してしまうところとか。そう言う面が顕著に表れてしまった。

そこまで大切にしている一人娘が急にいなくなってしまったら、お母さんがどうなってしまうのか、私には皆目見当もつかない。

(……だからって、素直に海賊になりたいって言ったとしても確実に猛反対されるんだろうけど)

出航の時まで、もう時間がない。

お母さんを上手く説得して、ルフィと一緒にあの広大な海へ旅に出ることができるのだろうか。