【ONEPIECE】ごめん、離せない。 (ページ19)

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▷ 魂のお見合い破局大作戦２ページ19

なぜか引き止められてからそのまま繋がれてしまっている右手に違和感を覚えつつ、残りの買い出しをしに次の目的地である八百屋に向かう。今まで買ったものは全て、私の手を握っている彼が気を利かせて持ってしまっているので逃げることもできない。
彼も一緒に来たはいいものの、特別会話が弾む訳でもなく、いたたまれなさが最高潮に達してしまいそう。

私自身がお見合いに乗り気ではなかったせいで深く考えていなかったけど、恐らく……というかほぼ確実に、彼は私に好意を寄せている。つい先程から今にかけての言動を見て貰えれば何となくわかって貰えると思う。

一度相手の気持ちに気が付いてしまうとそういえば、と芋づる式に彼の過去の言動が、やたら私に対して優しかったのはもしかするとずっと私のことを好いていたからなのかもしれないという不確かな予想が浮かんでくる。異性から好意を寄せられたのは初めてかもしれない。そう思うと、カッと顔に熱が集まり、体温が上昇していく。

「……あの、明後日のおみっ、お見合いについて、なんですけど＿＿」

長い沈黙に耐えかね、明後日に控えている彼とのお見合いを話題に出したとき、見るからに彼は頬をほんのりと紅潮させ、「たっ、楽しみ！デスっ！！」と、私の言葉を遮ってそう言った。

(ど、どうしよう……“明後日のお見合い行けないかもしれません”って、言うつもりだったのに……)

言葉通り、お見合いを楽しみにしている彼を目の当たりにしてしまうと、言いかけていたその言葉の続きを言うことができず、曖昧に乾いた笑いを浮かべた。

⚚

「こらっ！A、逃げないの！！今日はお見合い当日なんだから、うんとおめかししないと！」

「そんなに気合い入れなくても〜……」

「ここで気合い入れないでどうするの。あなたせっかく可愛い顔に生まれたんだから、こういう時くらいお母さんに着飾らせてちょうだい」

「うぅ……」

あっという間に迎えたお見合い当日。こうなったらお見合い中に彼とはそういう仲になる気は無いとハッキリさせるしかない……と、決意するやいなや、やたら張り切っているお母さんに捕まってしまい、綺麗に着飾られてしまう。傍から見れば完全にお見合いに乗り気な格好をしてしまっていた。中々上手く事が運んでくれず、頭痛がしてくる。

彼との結婚がこれが確実に決まる訳では無いというのに、もう既にその気になってしまっているというのが1番面倒。このお見合い、必ず失敗させる…！