【ONEPIECE】ごめん、離せない。 (ページ12)

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▷ 幼少期１１ページ12

Aは少し離れてろ、とシャンクスさんに言われたので言葉の通りに山賊と揉めるシャンクスさん達から少し離れたところで様子を伺っていた。

ルフィの頭を踏みしめながらこちらに銃を向けてくる山賊相手にもシャンクスさんは一切動じない。山賊がシャンクスさんの頭に銃を向けた後は、一瞬だった。シャンクスさんの仲間が銃を向ける山賊の頭を銃で撃ち抜き、ベックマンさんがたった1人で山賊のほとんどを倒してしまった。

あれだけシャンクスさんにバカにされ続けたルフィだが、彼の口から「友達」という言葉が発せられると途端に感動したように目を輝かせる。シャンクスさん達は「腰ヌケ共」なんかじゃない。それが分かってしまえば、ルフィの中での海賊(シャンクス)への憧れはあっという間に再熱してしまう。

もう山賊側はお頭と思わしき人が1人残っているだけ。誰もが勝ちを確信し始めていたそのとき、山賊は最後の悪足掻きで煙幕を投げ、自身の足元にいたルフィを強引に連れ去っていくのを私は見た(・・)。

煙幕が晴れ、跡形もなく消えてしまった山賊とルフィに、シャンクスさんが「油断してた！！ルフィが！」と慌て出す。周りが探せ探せと動き始めている中で、私は迷わずシャンクスさんの元に行くと、彼の黒いマントをくいくいっと引っ張った。

「どうしたA！？もっ、もしや怪我でもしたか！？今すぐ手当を……あﾞーでもルフィがあ〜〜！！」

「お、落ち着いて……！」

「えーっと、ベックマンにAを任せて……」

「シャンクスさんっ！！！」

こんなに大きな声を出したのは産声以来ではないかと思うくらいの大声を、私は慌てふためいているシャンクスさんに向けて放った。シャンクスさんは私が大声を出したことに心底驚いているのか目をぱちぱちと瞬きさせてすっかり固まってしまっている。でも、そんなことで時間を取られている暇はない。

シャンクスさんのマントをグイッと引っ張り、煙幕の向こうで山賊とルフィが消えていった方向を指さしながら「あっち！！」と叫んで、私は走り出した。

「待てA！」

「はやく、行かないと……！！」

後ろからシャンクスさんが追ってきているのは承知の上。むしろ着いてきてもらう為に、走っているのだから。私じゃルフィは助けられない。だから絶対、ルフィを助けてね、シャンクスさん。

辿り着いた海岸の先に浮かんでいる小舟に乗っている2つの人影。悟るやいなや、シャンクスさんは海へと飛び込んでいた。