【ONEPIECE】ごめん、離せない。 (ページ2)

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▷ 幼少期２ページ2

どうしても苦手なその人の声が聞こえるなり、つい反射的にルフィの後ろに隠れてしまうと、他の面々はテーブル席に座っているのに、唯一カウンターに座っているその人はガハハ！と盛大に笑いだし、「おれはまだAに怖がられてるのか！」と言いながら酒瓶を呷った。

確かにあの人＿＿シャンクスさんは少し怖いけど、本人にバカにされたように言われるとなんだか気分が悪い。ムッと頬を膨らませながらルフィの服の背中部分をぎゅっと掴んでシャンクスさんを薄く睨みつける。

すると突然こちらを振り向いたルフィに驚いて服から手を離すと、ルフィはまたさっきまでのように私の手を取りカウンターにズンズンと進んでいく。その行動を見ていた周りの人がヒューヒューと口笛を吹いて冷やかしてきたので、それがまた恥ずかしくて歩きながら俯いてしまった。

「お前らこんな朝っぱらから元気だな」

「朝から酒ばっか飲んでるシャンクスに言われたくねえよっ！」

「おれは大人だからな。ガキのお前らとは違って、いくら飲んでも平気なんだよ」

「まーーたガキって言ったな！おいA！お前もシャンクスにこんな風に言われて悔しくねえのかよ！」

ルフィがそう問いかけてくるとシャンクスさんの黒い双眸が私に向けられる。ただでさえ小さい私が大きなシャンクスさんに見下ろされるのはそれだけでも威圧感があって怖いというのに、ここまでまじまじと見つめられるとますます恐怖心が湧く。

「ぁ、あの、えっと…」と上手く答えられずに口ごもっていると、シャンクスがフッと口元に弧を描き、腕を伸ばして私の頭を2、3度程ポンポンと優しく撫でた。彼の手が触れてきた途端にビクッと体が硬直し、おずおずとシャンクスさんの顔を下から見上げると、なぜかとても慈愛に満ちた表情を私に向けていた。

「お前はそのままで良いからな。できることならこの先もずっと、な？」

「……？」

「なぁシャンクス。何意味わかんねえこと言ってるんだ？」

「まっ、ルフィには一生分かんねぇだろうなあ！」

「何だとォ！？」

再びギャアギャアと騒ぎ出したルフィとシャンクスさんの会話を耳にしながら横に移動し、シャンクスさんの1個席を挟んだ右隣の席に座った。真ん中にはいつもルフィが座るので、こうして1つ空けて座るのもいつものこと。

席に大人しくちょこんと座っていたら目の前にジュースの入ったコップが差し出された。顔を上げると、そこには「どうぞ」と言って微笑むマキノさんが立っていた。