星屑のスパンコール（Ryuto.S）

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……そう、まだ言えていないのである。




いや、言えていないというか、言いたくなかったのだ。



ファンとして、アイドルとお近付きになる目当てで電話番号を渡したって、思われたくない。


……まあ、実際それもあるけどさ……それに、目の前に居る人がファンだと思ったら、アイドルは多少なりとも気を張ってしまうのではないか。


アイドルとしての自分が好きなだけで、実際の自分は好かれていないのではないか、とも思われたくない。




私はそのままの作間くんを、全部、包み隠さず、見せて欲しい。




作間くんが、知りたい！




『……どうでもいいけどさ、あんた隠していられるの？』


｢……やっぱ無理かな｣

『私はそう思う』


オイ食い気味で言うな。大丈夫、電話番号渡す時もなかなかの演技力だったと思うし。うん、大丈夫だ。






『てか、定期的に会うってことは連絡先交換したの？』




｢……ア！！！！！！！！！！！！！！｣



完全に忘れてた…………



『……本気でバカなの？』


｢あでも、私最初に電話番号渡した……｣


『あぁ、あの散々後悔してたヤツね(笑)』




いや〜あの時の落ち込み方はすごかったねって人参を食べながら淡々と話す菜花は鬼だ……見た目は可愛いのに。



え、じゃあアレしか連絡手段ないじゃん…………じゃあ作間くんから、で、デンワが来ると？なにそれラインより何億倍も緊張する気が……



てか作間くんも緊張してできなかったとか言ってたっけ。

ニヤニヤしながらそう話していた作間くんを思い出す。




『……ちょっと何？！茹でダコみたいな顔して！！！！』と菜花が叫んだ。



…………みんなこないだから金魚とか茹でダコとか、もうちょいまともな生物に例えてくれない？







その日の授業も先生に媚を打って適当にやり過ごし、いつも通り菜花と下校しているときだった。



電話が鳴った。しかも非通知。



菜花はニヤニヤしているが、私はこないだの教訓を忘れてはいない。こういう時は大体おじいちゃんだから。(電話番号登録してやれよ)



……と、気軽な気持ちで電話に出た。


｢はいもしもし〜｣


『あ……あの、作間です』





オーーーーーイ心の準備できてないゾーーーーー！！！！！！！！！




『おれ、今日夜暇なんだけど、ご飯食べた後会えない？』


｢………｣


『あれ、もしもし？』





…………好き、と言ってしまいそうになって慌てて口を塞いだ。


｢もちろん行きます。｣

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