私、大家になります！～ARS～6 (ページ49)

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智side ページ49

その後、翔くんは声が枯れるまで泣き切ると
疲れて和にもたれ掛かって眠ってしまった

そのため、続きはまた次回と言う話になり
一応、彼は帰りに安定剤を投与することになり、
病室へ移動した

その間、おいら達2人で先生の話を聞くことになるんだけど…
前回のように目覚めた翔くんが病室の天井を見てパニックにならないように
話し合って和がその間、彼に付き添うことになった

和の足音がこの部屋から遠ざかり、完全に聞こえなくなったのを確認すると
おいらは口を開いた

智「翔くんは…入院になるんですか？」
美和「前回と比べ、自分を傷つける行為はなくなったんですよね？」
智「まぁ…家には誰かいますし、彼が一人で過ごす時間がないように、リビングでは彼に付きっきりになっていたので」
美和「そうですか…」

そう言うと、難しい顔で手元の紙を読む彼女

智「先生？」
美和「1週間分の服薬を出せるか担当医と相談します。それが決まったら、会計時にお渡しするので」
智「ちょ、ちょっと待ってください！入院はないんですよね？大丈夫なんですよね？」
美和「…えぇ、今のところは」
智「今のところはって」
美和「これ以上酷くなると、彼の承諾を得ずに皆さんからの許可を得るか、こちら側の判断で入院していただくことになるかもしれません」

そんな…

美和「それに、皆さんが彼に付きっきりになりたい気持ちも分かります。
この前のように彼が傷をつけてしまうのが怖いんですよね？」
智「それは」
美和「でも、それで皆さん自分の時間は取れてますか？
特に大野さんと二宮さんにいたっては在宅ワークだから、
プライベートも仕事も一緒で…」
智「何が言いたいんですか？おいら達がいいと思っているからやっているんです」
美和「それだと、彼にとっても貴方達にとってもよくありません
少しでもいいんです。彼から離れて自分の好きなことに時間をとってください
たとえどんなに彼のことが好きでも…いつか彼のことが嫌いになってしまいますよ」

そう言われてしまい、おいらは何も言えなかった
心のどこかでこのままではいけないと思っていたのかもしれない

美和「あと…クリスマスプレゼントでしたっけ？彼が欲しいと言った内容は、彼の家庭環境に影響してますね」
智「やっぱり…あれから自分達の間で翔くんに君はここに必要だよって伝えているんですけどね」