私、大家になります！～ARS～6 (ページ48)

今日:5 hit、昨日:3 hit、合計:33,189 hit

智side ページ48

美和先生の言葉に、翔くんは「それはやだ！」と言いながら、
おいらと和の手を引っ張り、ソファーベッドに座らせるとその間に割り込むように座った

美和「じゃあ、始めますね？」

そう言うと先生は、先程とは一転
カウンセラーの表情に変わり、翔くんのペースで話を進めていた

その内容は、先日彼がおいら達に告白したもの

彼女もあの場にいたから内容は知っているはずなのに、彼から語られる言葉にはその素振りを見せずに相槌をうっている

まぁ、今話しているのは退行している彼だからかもしれないけど…
“今の”彼にとって、この話をするのは初めてだ
だから勇気をもって話してくれている彼への配慮だろう

美和「うんうん…ありがとう。いっぱい話して疲れたね？今日はこれで終わりにする？」
翔「ううん、まだはなすの」
美和「このお話の次は、次にしない？翔くんの中の翔くんが疲れたよーって言ってるよ？」
翔「やだ！はなすの！」

そう言いながら嫌々と首を振る彼
そこまでして話したいこととは何だろうか？

美和「…分かったわ。ただし、無理はしないでね？
無理をしているのが分かったら、話が途中でも終わらせるから」

そう厳しく言う彼女
でも、それも今の彼を思ってのことだろう

美和「それで？先生に話したいことは何？」
翔「しょうね、はじめてサンタさんがくるの」
美和「サンタさん？」

まさかの言葉が出てきて、彼女はちらりとおいら達に視線を向ける

智「実は先日、Aさんが言ってくれて
きっかけはうちの相葉なんですけど、サンタさんに1回もクリスマスプレゼントをもらってないから
大人になっていい子で頑張っても子どもじゃないからもらえないと言ってたのを知って、
今年は、シェアハウスのメンバーが書いたサンタさんへの手紙をサンタさんへ届けると言ってくれたんですよ」
美和「なるほどね」
翔「でも、サンタさんって
やっぱり、いいこのところしかプレゼントをもっていってくれないの」
美和「どういうこと？」
翔「しょうね、サンタさんに“しょうが、ひつようとされるばしょをください”っておねがいしたの
だけど、ダメって
プレゼントってほしいものをおねがいするんでしょ？
だから、しょうもおねがいしたのに…
それをおねえちゃんにいって、しょう、おねえちゃんをなかせちゃったの
しょうが、もっといいこだったら
おねえちゃんをなかせなかったのに
しょう、わるいこなの」

そう言いわんわんと泣く彼
…これが朝の2人の原因か