私、大家になります！～ARS～6 (ページ45)

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智side ページ45

それと同時に、ある疑惑が…
もしかして、この人が翔くんにタクシーのトラウマを与えたのか？
こいつが…こいつが！

「君、勘違いをしておるぞ！ワシは、ほとんどの子を一郎さんと乗せてきたが、
後部座席にいる甘えていた翔くんの方はワシじゃない」
智「嘘つくな！翔くんは言ってた
運転手さんに乗っている時に睨まれたって…
車を持っていないおいら達にとって、移動手段が限られるんだよ
じゃなくても、昔のことで人混みが苦手な翔くんは一人で公共交通機関が苦痛なのに…
お金がかかっても遠くへ行けるタクシーまで乗れなくなったら、翔くんはどうすればいいの？
あんたは…翔くんの人生に責任取れるのかよ？！」
「智！！」

おいらの名前を呼ぶ声に、ふと我に返った

その方向を見ると、寝ていたはずの和と翔くんが涙目でおいら達のことを見つめていた

和也「智？どうしたんだよ、大声を出して」
智「それは」
和也「悪いけど、俺は全部話の内容を聞いてた
とりあえず、運転手さん？の話も聞こうよ
これ以上智が怒っていたら、兄貴の記憶に恐怖の記憶が上書きされて…
そうしたら、こうやってタクシーに乗ることが出来なくなっちゃうだろ？
そうしたら俺…いくら智が相手でも許さねーから」

和の淡々とした物言いにハッとした
彼は怒っているんだ
だけど、おいらが後悔しないように…かつ翔くんが怯えないようにと
必死に感情を抑えている

歳下の彼にそのように思わせてしまったことが、本当に申し訳ない

智「…ごめん、和、翔くん。あ、運転手さんも」
「いいや、ワシも悪かった」
和也「それで？何でうちの櫻井の時は貴方じゃなかったんですか？」
「あの日は…ワシは出勤日じゃなかったんじゃよ
いつも一郎さんは連れて行く日をワシが出勤の日に合わせて決めていた
しかし、翔くんの場合は、不測の事態だったそうじゃ
急に連れていかないといけなくなったんじゃが、ワシはいない
だけど、緊急事態だったためその日はワシが働いている会社の…あぁ、ちょうど翔くんと同年代の奴が二人を迎えに行ったらしいんじゃが…
今でも後悔している。何であの日ワシは休みだったんだと」
智「え？」
「次の日、そいつから聞いたんじゃよ
『俺が乗せた時の客が昼間でスーツなのに、家に帰っている
しかも相手は、じいさんと孫でその孫は俺と同年代に見えた
俺はこの時間頑張って働いているのにとミラー越しに睨んでいたらパニックになってじいさんに怒られた』とな」