私、大家になります！～ARS～6 (ページ21)

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和也side ページ21

ようやく、テイクアウトをするのを決めた翔さんは、
店の中で食べるものを今か今かと身体を動かしていた

…それが厨房の中からも見えたのだろう

悟兄ちゃんが、料理をする手を途中で止め
厨房の中から顔を出した

悟「翔くん。よかったら、カウンターからになっちゃうけど、
僕たちの料理する姿を見てみる？」

そんなお誘いに、彼の答えはもちろん“YES”
キラキラした笑顔で俺の腕を引っ張り、
カウンターから厨房の中がちょうど見える席に座った

…厨房の中で料理をする彼の姿は、あの家で見る姿とは違った
制服を着ているのもあるけど、何だかその姿は料理人そのものだった

そんな料理を俺達はほぼ毎日食っているんだよな…
ふふ、このお店に通っている人には悪いけど、かなり自慢できるよ…これは

和也「翔さん…潤くんかっこいいね」
翔「うん…じゅん、かっこいい」
和也「智くんとか…雅紀に自慢しようか？」
翔「ふふ、まさき、いいなーっていいそう」
和也「ふは、確かに…じゃあ、次は皆で来ようね」
翔「やった…翔も…行く…」

彼を見ながら、翔さんと話に花を咲かせていると
翔さんが話している言葉が、なぜか徐々に途切れ途切れになっていくことに気がついた

不思議に思った俺は、ちらりと横を確認すると
翔さんは眠いのか、ゆっくりと船を漕いでいた

…まぁ、朝から精神的にもストレスかかっていたからね
疲れるのはしょうがない

それに、来たことない場所で眠くなるってことは、
ここが自分にとって安心できる場所って認識してくれたってことだよね

やっぱり、ここに来て正解だったわ

和也「翔さん、寝ちゃってていいよ。眠いでしょ？」
翔「やだ…まだ…」
和也「和が動画撮ってあげるから…あとでゆっくり見よう？」
翔「ん…やくそく」
和也「うん、約束ね？」

俺がそう言うと、彼はカウンターに突っ伏し10秒もしないうちに寝息をたて始めた

悟「あれ？櫻井くん寝ちゃったんだ」
和也「うん…ちょっと朝色々あったから」
悟「あぁ、みたいだね」

…ん？“みたいだね”？
確かに、俺はこの店に行く時
翔さんについて悟兄ちゃんに話はしたけど…

でも、それは彼が人混みが苦手であることと視線が怖いことしか話していなくて
今朝のことは話した記憶ないんだけど…