私、大家になります！～ARS～6 (ページ19)

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和也side ページ19

悟兄ちゃんがどうぞと言いながら俺達を案内した場所は

入口からも窓側からも離れた場所にある
4人がけのテーブル席だった

別に俺達だけだし、カウンターでも…と言いかけたが
翔さんが俺の向かい側に座ってすぐ、先程とは一転キラキラした表情でメニューを手に取りめくり始めたので、
食いしん坊の彼のことだから…と考え言うのは止めた

翔「かず、どれにするどれにする？！」

俺がまだメニューを開く前に目の前からの彼から尋ねられたので、慌てて見た

メニューはパスタからご飯ものまで数は少ないが、種類は豊富だった

飲み物はシンプルにコーヒーやオレンジジュース、お茶があったり…かと思えばオレンジフロートやコーヒーフロートのように子ども達が喜びそうなものがある

サイドメニューはフライドポテトと…ふふ、まーくんが好きな唐揚げがあるじゃん

サラダはー…従業員の負担を考慮してか、ポテトサラダかシーザーサラダの2種類

全体的にテレビで見たことがある都会のような映えを狙ったものではなく、
このお店の雰囲気にあったどこか懐かしさを感じるものばかりだった

翔「ねー、かずきいてる？！」

あ、何も考えずついぼーっと見てしまった

和也「き、聞いてる聞いてる！」
翔「じゃあどうする？」
和也「え、えっと…し、翔さんは決めたの？」
翔「ふふ、しょうはね！」

そう言うと、彼は俺にメニュー表を見せ指差しながら教えてくれた

翔「オムライスでしょ、オレンジジュースでしょ、ポテトとでしょ、からあげでしょ、それから」
和也「…ちょっと待って、もしかしてこの中に書いてあるメニュー全部食べようとしてる？」
翔「え、ダメ？」

そう言いながら、不安そうな表情で俺を見る翔さん

…いや、ダメじゃないし、彼に腹一杯食べて欲しいから
念のためお金もいっぱい持ってきたけどさ？

“今の”彼のことだから責任を感じて、たとえ腹一杯になっていたとしても頼んだもの全部食べようとするだろうし…

何より、その後に腹痛等の体調不良で苦しむのは彼自身だ

残念ながら、俺は翔さんみたいにそんなに多くは食えないし…

でもな…

そう本日二度目の頭を抱えていると
視界の端から苦笑いの悟兄ちゃんが現れた