私、大家になります！～ARS～6 (ページ16)

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和也side ページ16

彼が落ち着いたのを確認した俺は、少し遅めの朝食をとった

俺が2人分の朝食を準備をするために台所に入ると、テーブルの真ん中に一枚のメモが

内容を確認すると

〔急遽仕事の呼び出しが入ったため、私達は帰ります。
一応、人数分の朝食を作ったので冷蔵庫に入っています！温めて食べてね
あ、あのバカには作らせてないので味は保証するね！
渡辺美和〕

…なるほど。通りで朝から2人の姿が見えないわけだ
納得した俺は、冷蔵庫の中を確認すると

和也「マカロニサラダ、大学芋、目玉焼き、ホウレン草のおひたし、フレンチトースト…
って、朝からこんなに食えねーだろ」

ちらりとコンロの上にあった鍋の中を確認すると、白菜が入った味噌汁があった

何時にその仕事場から連絡があったかは分からないが、この量を一人で6人分はさすがに無理がある

おそらく、仕事は嘘で俺達に気を遣って帰ったのだろう
…何だか申し訳ないな…

「和…？」

後ろから声が聞こえて慌てて振り返ると、
リビングにいたはずの翔さんがいつの間にか台所に入ってきていて、
不安そうな表情で俺を見ていた

和也「翔さん、どうしたの？」
翔「和、全然戻ってこないからもしかして倒れているんじゃって」

倒れているって…
俺、翔さんに朝御飯作ってくるって伝えたはずなんだけどな…

そんな飛躍した考えに不思議に思って、翔さんを見ると
今にも泣きそうな目で俺を見ていた

翔「ごめん、本当は一人が怖くなって…人混みの中にいないはずなのに色々な声が聞こえてきて…
和に迷惑をかけたくなかったけど、つい…」
和也「翔さん…」
翔「ごめんなさい！約束破っちゃって…」
和也「そんなことは」
翔「嘘もついちゃった…しょう、わるいこ
さとしくんにもまさきにもかずにもじゅんにも…おねえちゃんにもいっぱいめいわくかけた
やだ…いばしょ、うしないたくない」

そう言いながらぼろぼろと泣き出す翔さん
今、退行中ってことだよな…
病院の時はAとか…他の皆もいたけど、今は俺しかいない

俺が何とかしないと…

そう思いながらも退行中の翔さんを前にして俺は何もできず、ただ抱きしめて背中を擦ることしかできない
…そんな自分が嫌いになる