私、大家になります！～ARS～6 (ページ2)

今日:29 hit、昨日:3 hit、合計:33,213 hit

・ページ2

“お父さん、お母さん行かないで…”

ふと、自分の父親と母親が亡くなった日に見た夢を思い出した

夢の中の自分が、どんなに足掻いてお父さんとお母さんと一緒にいることを希望しても
夢の中での2人はシェアハウスの住人達と生きていきなさいと言う

2人は寿命がきたら迎えに来てくれると約束してくれたから、
私はこうして日々頑張っているけど…

バイトや大学にいく日に自分と同年代の人が親と仲良くしているのを見かけると
どうしても嫉妬と羨ましさが頭の片隅にちらつく

そして、夢の内容を思い出すんだ
どうして、私を置いていなくなったの？って…

今の彼の状態は、その日の私と同じなのかもしれない

夢の内容は、恐らく何らかの理由で櫻井さんが自分の元からいなくなるといった感じだろう

じゃなくても明け方のことや櫻井さんのご両親のことがあるから、
彼は今、目の前にいるのが誰なのか
自分が今いるところは夢か現実かの区別がついていない

それを証拠に、彼は抱き締めた私をもう離さないぞと言わんばかりに力強く抱き締めながら泣いている

…そういえば、悟兄ちゃんも今の彼と同じ状態だった

当時の私は、大好きな悟兄ちゃんが夢に魘されているのを見て
ただひたすら悟兄ちゃんを起こさないとっていうことに頭がいっぱいで
じいちゃんを起こしにも行かず、必死に彼の身体を揺らしながら名前を呼んでいた

そう思い出した瞬間、当時の彼と今の大野さんの姿が重なった

助けないと…早く助けないと

A「大野さん、起きてください」
智「翔くん…翔くん」
A「大野さん！それは夢です。現実の櫻井さんは貴方と一緒に川の字で寝ています！」

私がそう言うと、その声で目が覚めたらしく
私を抱き締める力が緩み
私から身体を離して私の顔を見た

智「A…ちゃん？」
A「はい、Aです。このシェアハウスの大家の」
智「え、おいら、何でAちゃんを抱き締めているの？」
A「それは」
智「翔くん…翔くんはどこ？」

目が覚めたとはいえ、まだ不安が拭えないのか
彼は櫻井さんの姿を不安そうな表情をしながら探している

A「大野さん、安心してください。櫻井さんは私の隣で寝ていますよ」

そう言いながら私の布団に大野さんを移動させると
大野さんは「あ、そうだった…」と呟くとゆっくり息を吐き出した