雅紀side ページ41
雅紀「…翔ちゃん、本当に？」
俺がおそるおそる尋ねると、翔ちゃんは肩を一瞬上げ、
俺をまるで怯えた目で見つめながら、ゆっくりと頷いた
今の翔ちゃんには、俺もその親に見えているのかと思うと何だか悲しかった
…って、俺も怒っている男の人を見ると自分の父親と錯覚する時があるから、人のこと言えないんだけど
そんな俺の気持ちを察したのだろう
翔ちゃんは、いつの間にかAちゃんの腕の中から出てきて、
俺の両手をギュっと優しく握った
雅紀「翔ちゃん…」
翔「お、俺…親達に会ったあの日から大家さんのおじいちゃんと智くん以外全員敵に思えて、
怖くて外へ出られなかった
たまになる家の電話も『もしかして、この家がバレたんじゃ』と思うとたとえおじいちゃんに用事がある電話でも怖くて出られなくて…
だから、智くん達は2人のうち誰か一人でも俺の側にいられるように配慮してくれた」
雅紀「…うん」
翔「俺もいつまでも2人に甘えたくないって思って、
気持ちが落ち着いている時は、家の周りを一緒に散歩したり、近くの店へ短時間だけど買い物に行ったり…
少しずつだけど、外へ出られるように頑張った」
雅紀「…うん」
翔「今でも思い出すあの日…外へ出ることに慣れて久しぶりに一人で買い物に行ったあの日…
思い切って東京へ出掛けたんだ
2人は俺の親のこともあって反対してたんだけど、買ったらすぐに帰ってくること
何かあったら必ず連絡することを条件に了承してくれた」
雅紀「…うん」
翔「買い物が終わった後、駅へ向かうために横断歩道の近くで信号が変わるのを待っていると
少し前の方で赤信号なのに、ふらふらとした足取りで道路へ向かう人が見えた
慌てて周りを見たけど、その人の周りは彼の様子に気づいていないか
あるいは気づいていても関わりたくないからか誰も彼を止める様子が見られなかった
それで俺は思った。あの人を助けられるのは自分しかいないんじゃって…
それにその人の姿が、何だか少し前にホームへ飛び降りようとしていた自分の姿に重なって俺は無我夢中で人混みを掻き分け、彼の身体を急いで歩道へ移動させようとした
その時、俺の足がもつれて2人で転んじゃって…運悪くトラックが近づいてきたから
俺はその人の身体を守るようにして抱き締め、死を覚悟した
…まさか、その人が今後一緒に住むメンバーの一人になるとはね？」
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うめパンダ(プロフ) - ゆーかさん» ありがとうございます(*^ー^)ノ♪不定期更新になってしまいますが、応援よろしくお願いします！ (2021年8月5日 8時) (
レス) id: a1376d4518 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーか(プロフ) - 初見です！今日この小説を見つけて一気にここまで読んでしまいました笑この先が凄く気になります！これからも頑張って下さい！！ (2021年8月4日 17時) (レス) id: 8f1f91b32d (このIDを非表示/違反報告)
うめパンダ(プロフ) - 名無し56631号さん» ありがとうございます(*￣∇￣*)そう言っていただけると嬉しいです！ (2021年7月27日 18時) (レス) id: a1376d4518 (このIDを非表示/違反報告)
名無し56631号(プロフ) - 最近読み始めました！！とても面白いです…更新楽しみにしています (2021年7月27日 9時) (レス) id: 2035d75108 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うめパンダ | 作成日時：2021年7月12日 23時
