翔side ページ29
…結局、俺は死ねなかった
なぜなら
『待ってろよ〜もう少しで着くからの〜』
無理矢理乗せられたタクシーの俺の隣に座る老人男性が、俺の腕を後ろから引っ張り戻されたからだ
この老人はそのまま無言で俺を引っ張っていき、改札口を出てすぐのところにあるタクシー広場に止まっていたタクシーの後部座席に俺を無理矢理乗せ、
自分も隣に乗った
そして、やっと喋ったと思ったらこのセリフ
俺はどこに連れて行かれるのだろう
それにしても、このじいさんは誰だ？
赤の他人である俺にここまでするなんて、何も目的がないとは思えない
じいさん『ん？わしの顔に何かついているかの？』
俺があまりにも見ていたから我慢できなかったのだろう
じいさんはタクシーに乗って初めて俺の顔を見た
その瞬間、俺は彼の瞳に吸い込まれそうになって、慌てて正面を向いた
その時、ちょうどミラー越しに運転手と目が合った
『この二人何者だ？っていうか、若い方の男はこの時間帯は仕事じゃないのか？
あ、もしかしてサボりか？ったく、最近の若者は』
そう目で言っている気がして、思わず両手で耳を塞ぐ
怖い…怖い…
そう思えば思うほど、自然と息ができなくなる
あれ、酸素ってどういう風に吸うんだっけ？
そう考えながら必死に酸素を入れようとするがうまく入らず、
徐々に俺の頭が真っ白になる
俺、ここで死ぬの？このタクシーの中で？知らないじいさんと運転手がいる中で？
…まぁいいや
お二人には悪いけど、これで俺がこの苦しみから解放されるのなら
そう思った瞬間、ふわっと自分の身体がじいさんの方に倒れこむのが分かった
じいさん『おい、大丈夫か！』
慌てた様子のじいさんの声が右から左に流れていく
血の繋がった家族でさえ、俺のことを心配する言葉をかけてこなかったのに、このじいさんはすごいな…
俺もこのじいさんのもとで生まれていたら、人生変わったのかな？
じいさん『おい、しっかりしろ！』
じいさんの慌てた言葉を聞きながら、俺は意識を失った
もし次に生まれ変わったら、俺のことを必要としてくれる人のもとに生まれたいな…
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うめパンダ(プロフ) - ゆーかさん» ありがとうございます(*^ー^)ノ♪不定期更新になってしまいますが、応援よろしくお願いします！ (2021年8月5日 8時) (
レス) id: a1376d4518 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーか(プロフ) - 初見です！今日この小説を見つけて一気にここまで読んでしまいました笑この先が凄く気になります！これからも頑張って下さい！！ (2021年8月4日 17時) (レス) id: 8f1f91b32d (このIDを非表示/違反報告)
うめパンダ(プロフ) - 名無し56631号さん» ありがとうございます(*￣∇￣*)そう言っていただけると嬉しいです！ (2021年7月27日 18時) (レス) id: a1376d4518 (このIDを非表示/違反報告)
名無し56631号(プロフ) - 最近読み始めました！！とても面白いです…更新楽しみにしています (2021年7月27日 9時) (レス) id: 2035d75108 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うめパンダ | 作成日時：2021年7月12日 23時
