私、大家になります！～ARS～ (ページ9)

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…現れたカズという方は
大野さんと同じ小柄な方だった
だけど、何て言えばいいんだろう
自分のフィールドには近づかせないという雰囲気を醸し出しているのだ

翔「ほら、和」

和也「…二宮和也です。よろしくお願いします。」

A「あ、新しくここの大家になりました。佐藤Aと申します。
よろしくお願いいたします。」

慌てて頭を下げる私
すると、私の前から何やらぼそぼそと声がした

おそるおそる頭をあげると、
カズ…二宮さんが私を鋭い目で睨んでいた

和也「俺は、こいつが大家なんて絶対に認めません！」
翔「和！」
和也「俺にとっての大家は、あのじいちゃんなんだよ！
なのに、新しいやつはガキだし女だし…」
翔「おい、彼女に失礼だろ！」
和也「俺は、正直に言ったまでです。…本当は皆さんもそー思っているんじゃないんですか？」

二宮さんの問いに何人かが私から目を反らす

…何これ。
これでも、少しは覚悟してた。
今までじいちゃんが大家としてこの家を守ってきたんだから…
でも…でもさ！
私にだって我慢の限界があるんだから！

A「いいかげんにしてよ！」
和也「は？」

A「さっきから黙って聞いていたけどさ？何で初対面のあんたにそこまで言われなきゃなんないのよ？！」
和也「逆ギレかよ、やっぱりガキじゃん」
A「確かに私はガキだよ！それは否定しない。
でもさ、私だってこれでも22歳で本来なら今就活をしている時期で…
じいちゃんの遺言に私が大家になれなんて書いてさえいなければ、
来年の今頃は都会のオシャレなところでキャリアウーマンとして働いていたはずなのに…っ」

和也「…」

A「だから、だから私はあんたにボロクソ言われるために来たわけじゃ…」

ここまで言って気づいた
やってしまった…この人に腹立ってつい言ってはいけないことを言ってしまった

いくら、心の中でモヤモヤがあったとしても言っていいことと悪いことがある
それを…しかも初対面の人に八つ当たりなんて…
早く謝らないと…

A「あ、あの」
和也「出てけ」
A「…」
和也「大家なんていなくても、こっちはこっちでやるからさ」
A「で、でも」
和也「お前みたいなやつに！俺達の空間を壊して欲しくねーんだよ！
早く俺達の前から消えろよ！」

そう言うと二宮さんは部屋から出ていき音をたてて扉を閉めた

A「…言われなくても、出ていきますよ」

そう言うと私はキャリーケースを持って急いでこの場所から離れた