私、大家になります！～ARS～ (ページ47)

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松本さんの過去ページ47

潤「ふは、やっぱりじいちゃんに何も聞いてないんだな」

戸惑う私に対し、彼は自嘲気味に笑った

A「どういうことですか…？」
潤「…俺さ、本当の親を知らねーんだよ」
A「え？」
潤「俺は産まれてすぐ、施設の前で棄てられてたんだとよ。
だから、俺はどこでどんな母親の間に産まれたのか知らねーの。
施設の人が俺を見つけた時唯一分かったのは、“潤”という俺の名前だけ。
だけど、ほら何百年以上も昔と違って現代じゃ名字があるのは当たり前だから、出生届を出してからある日まで、俺は施設長の養子として育てられた」
A「ある日って…」
潤「…俺が施設から松本家に養子縁組をされた日。その日から、俺は“松本潤”になった」

なるほど…彼の原点はそうだったのか

潤「最初の頃は、親父もお袋も俺を本当の息子のように接してくれた
施設には俺の他にも多くの子達がいたから、どうしても俺一人だけに愛情を注いでくれるってわけじゃなくて…
だから、少しでも俺に意識を向いてくれるようにって学校で沢山問題を起こして…そんなことを何度もやっているから問題児ってレッテルを貼られるわけなんだけど、当時の俺はそれがコミュニケーションのとるいい方法だと思っていた」

歪んでいたの、俺…と笑う彼
その笑顔は、私の心を酷く締め付けた

潤「だからさ、松本家に引き取られてからはそんなことをしなくても愛情を独り占めできた
俺は幸せだった
…ある日、俺の下に弟ができるまでは」
A「弟…」
潤「それからは、俺に向いていた愛情は全部その弟へいった
まぁ、松本家にとっては初めての血の繋がった息子
それに俺はその弟より頭は悪かったし、運動神経はいい方だけど特別秀でているものがあるかと言われればそうでもない。
…だから、俺がその家族から空気として扱われるまでそう時間はかからなかった」

そんな…せっかく居場所を見つけたのに

潤「そうなるとさ、施設時代の俺が顔を出して学校で問題を起こして…余計に孤立するっていう悪循環に入っちゃって…
それで終わりにすればよかったのに、俺はできなかったんだよ」
A「松本さん…」
潤「そんな俺に嫌気が差した親父達は、ある日この家から出てけと言ってさらに俺の実の親もどうしようもない奴だったのではと俺を罵倒して…
ちょうど偶然そこを通りかかった弟が俺を見て
鼻で笑ってバカにして…その瞬間俺の中で何かが切れて…

気づいたら、俺は弟を何度も殴っていた」