私、大家になります！～ARS～ (ページ45)

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…私達が着いた場所
それは、ここらへんでは結構有名な神社だ
といっても、某有名なところの神社には劣るけどね…

それでも、年始の初詣の時はこの近所の人達が集まるため
その時期は賑わっている

今はその時期とは離れているが、来月ある大規模なお祭りの準備でか所々に出店らしきものがちらほら…

それを横目に私達は神社の鳥居をくぐり、長い階段を上った

神社の敷地内に入った私達

たまたま目に入った所がちょうど他の人の死角に入りやすそうだったから、
私はそこへ行き、汚れはするけど…立って話す程の短く軽い話だとは思えなかったからあった段差に腰かけた

ちょっと遅れてきた彼も、私が座ったのを見てちょうど人一人分の間を空けて私の隣に座った

…この後、どうやって話を振ろうか
聞きたいことはいっぱいある
でも、それを大家とはいえ赤の他人である私が聞いてもいいのか？

そう悩む私に対し、意外にも先に口を開いたのは彼だった

潤「何でここにいんだよ…夏休みじゃなかったのか？」
A「…卒論に使う調べものをしてたんです。さっきあのお店にいたのはお昼食べるためであって…」
潤「ふーん…」
A「松本さんこそ、なぜあの店にいたんですか？確か、初日の自己紹介の時にあのシェアハウスの近所のスーパーやコンビニのバイトを掛け持ちしていると言っていた気が…」

私がそう言い横を見ると、彼は気まずそうに口をもごもごと動かしていた

私ってば何言ってんの？そんなのどこで働こうが彼の自由なのに…

反応を見た瞬間後悔した私は、さっきの質問を取り消そうと言葉を発しようとした時、
彼は「夢なんだよ…」と小さな声で呟いた

A「夢？」
潤「…あのシェアハウスに住み始めてから俺はあの家の料理担当になって…
料理を作る度にあいつら、美味しい美味しいって満面の笑みで食べてくれるんだよなー…
だから、それが見られるお店を作りたいと思ってあの店で接客の勉強も兼ねてバイトをしてた」

スーパーとコンビニは単なる資金作りだとぶっきらぼうに言う彼
なるほど…彼にそんな夢が

急にキラキラ輝いているように見えた私は、彼にもっとその夢についての質問をしようとした

しかし、それを遮るように一転して鋭い表情になった彼は
私に言った

……「誰に聞いた」と。