私、大家になります！～ARS～ (ページ44)

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話ページ44

店から出た私は、ちょっと離れたところに一息吐けるようにと設けられているベンチに直行。

着いたとたん、今まで張りつめていた気が切れるように
力が抜け、そのベンチに座りこんだ

A「こ、怖かった…」

先程のことを思い出して震える声
同時に、手や足まで震え始めた

A「っていうか私、中々のチャレンジャーでしょ…」

学生時代にも今日と似たようなことに遭遇したことが何度かあった
でも、その時の私は自分に飛び火しないようにといわゆる見てみぬふり。

だから、ある意味今回の自分の行動には、私自身とても驚いている

何であんな行動がとれたのか？

何度か、“私は大家だから”と自分自身を奮い立たせていたけど…
やっぱり、護りたい人がいると私みたいな人でも強くなるのだろうか？
…子どもの頃に見た特撮のヒーローの気持ちが今更ながら分かる気がする

ってそれよりも…

A「この後どうしよう…」

もちろん、30分ぐらい後に電車があるからこのまま帰ってしまうことができる

でも、彼…松本さんが気になる

私は逃げるように出てこれたけど、彼はどれくらいか分からないけどぐちゃぐちゃな気持ちで今日のバイトをこなさなければならない

それに、嫌な予感がする
何だかまるで彼が消えてしまいそうな気がして…

自分でも考えすぎなのは分かってる
それに、ここで待ち伏せしてたらそれこそ気味悪がれて嫌な顔をされるかも…

一応、私…彼に嫌われているしな

考えた自分に落ち込む

すると、従業員専用の入り口から誰かが出てきた

目を凝らして見てみると…

A「松本さん！」

思ったよりも早く出てきた彼に、思い切って声をかける

すると、まさか私がいるとは夢にも思わなかったようで
私を見て一瞬驚いた表情を浮かべ
意外にも無視はせず、私に近づいてきた

潤「…あんた、帰ったんじゃねーのかよ」
A「松本さんと…ちょっと話をしたくて」

これだけで、何かを察したのだろう
彼はため息を吐いた

潤「ちょうどいいわ、俺も聞きたいことあったし」
A「じゃあ、場所変えましょうか…どこがいいですか？」
潤「できれば、人がいないとこ」

人がいないとこ…
そこに私は心当たりがあった

A「ちょっと歩きますが…ありますよ」
潤「ちょっと…ね」
A「…少し？」
潤「何で増えてんだよ！ほら、行くぞ」

そう言った彼はどんどん前に行ってしまう
私は、慌てて彼についていった