私、大家になります！～ARS～ (ページ29)

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雅紀「Aちゃん？」

まーちゃんの不安そうな声色に、ふと我に帰る
考えすぎだ。
そもそも、彼はただ純粋に私に名前を呼んで欲しいだけ
大丈夫、さっきみたいに普通に言えばいい、普通に…

私は小さく深呼吸をする
不自然になりませんように…

A「ま、まーちゃん…？」
雅紀「うん！なーに？Aちゃん」
A「あの…その…」
雅紀「ん？」
A「そ、その手に持っているケチャップってつ、つけなくていいの…？」

吃りながらも彼に指摘する私
これくらいしか話す話題思いつかなかったんだもん…

雅紀「え、ほんとだ！ちょっと、気づいているなら言ってよ～」
A「わ、私だって今気づいたばかりだし！」
雅紀「まぁ、いいか！半分は残ってたしそこにかけちゃおーっと！」

うりゃーと言いながらケチャップをかける彼
かわいすぎる…

私が思わず悶えていると、後ろから殺気が…
震え上がりおそるおそる振り返ると、
二宮さんが黒いオーラを纏って私達に近づいてきた

和也「おい、がきんちょ。いちゃついてねーで次」
A「が…？！」
和也「がきんちょはがきんちょだろうが。…文句あんの？」
A「な、ない…です」
和也「だろ？ほら、どうすんだよ。次どこ行くんだよ」

あれ？もしかして、口では悪く言いながらも
私の行くところ楽しみにしてくれてる？
一瞬、その可能性が浮かんだが、言ってしまったら怒られそうだから黙っとこ…

ちらっとスマホを見て時間を確認する…
あ、

A「すみません…」
和也「何だよ」
A「…終わりです」
和也「は？」
A「時間的に、帰りのバスと電車の時間を考えると遅くなってしまうんです
あ、終電の時間には間に合うんですけどね…」

迂闊だった
私の中では、この後バスで美味しいご飯屋さんに行くスケジュールが入ってたんだけど結構のんびり行動してたから時間が足りなくなっちゃった
時間読み間違えたな…

和也「じゃあ、飯どうすんだよ」
A「あ、ご飯は駅ビルの中にあるので、そこで食べましょう！」
和也「ったく…」

二宮さんはスタスタと一人で歩いていってしまう
…と思ったら、戻って来て急に私の腕を掴んできた

A「え？！」
和也「何ぼさっとしてんだよ！あんたがいないと道分かんねーだろ！」

ほら、どこ行けばいいんだよ！と言いながら引っ張っていく彼
…ムカつく

一瞬思ったが、もう片方で繋いでいたまーちゃんの視線が気になり、何でもないよと笑顔を見せた