私、大家になります！～ARS～ (ページ16)

今日:11 hit、昨日:17 hit、合計:137,534 hit

認めない和也side ページ16

潤「和、大丈夫か？」

何度かノックがあった後、部屋の外から俺を心配する声が聞こえた

和也「…あの女は？」
潤「ついさっき、怒って出てったよ」

潤くんの言葉に安心したものの
なぜか心にモヤモヤが残る

自分でも分かってる
大人げないことに…むしろ俺の方が餓鬼であることに

だけど、怖かったんだ
あいつがこの家に入ることで、俺達5人とじいちゃんの思い出に上書きされることが…

あいつは何も悪くないことは頭では分かってんだよ、頭では…
でも、どうしても認められないんだよ…

和也「潤くん」
潤「何？」
和也「何か…ごめんね」
潤「何謝ってんだよ」
和也「でも…」
潤「俺もあいつは認められない。
俺らにとっての大家は、あのじいちゃんだけ。
その代わりになる奴なんていねーんだよ」

あまりにも男前な発言に、思わず吹き出してしまう
すると、「何笑ってんだよ」とムッとした声が返ってきた

和也「何でもないです。…そういえば、3人は？」
潤「まだ、さっきの部屋にいると思う…
あ、でも玄関を開ける音が1回したから誰か外出たかも」
和也「ふーん…」

会話が止まってしまった
ふと、さっきのことを思い出す
ついカッとしてあいつと言い合いになって…周りが見えてなかった

和也「潤くん、聞きたいんだけどさ？」
潤「ん？」
和也「まーくん…泣いてた？」
潤「あぁー…」

戸惑った声色が肯定の証だ
やっぱり…大変なことをしでかした

この家に住んでいる皆がどういう経緯で来たのかは知らない
だって、それはこの家で住んでいる上で必要ないから…
それに、皆は話さないし俺も話そうとは思わないしね？

だけど、何年も同じ時を過ごしていると皆の好きなことや嫌いなことが自然と分かってくる
例えば、まーくん…相葉雅紀は大きな怒鳴り声が苦手。

なぜだかは分からない
ただ、何年か前何かのドラマで大人の俳優さんが子役に大声で叱っているというシーンを偶々全員で見ていたとき、
気づいたらまーくんは耳を塞いでいてポロポロと涙を流しながら倒れていたんだ

それを見た俺達は絶対彼にそのシーンを見せないと誓った筈なのに…

和也「まーくんに謝ってくる」
潤「俺も付き合うよ。
分かってたのに、その場からマサを避難できなかったら俺も同罪」

潤くんは優しいな…
ちょっとだけほっこりした気持ちになると、玄関のドアが開く音がした

潤「ちょうどいい。5人で話そう」
和也「うん」

そう言うと俺は、部屋を出て潤くんと玄関に向かった