図星 ページ12
彼に怒って勢いのまま出てきてしまった私。
でも、このまま実家に戻ってもお父さんやお母さんに会わせる顔がないから適当にぶらぶらしていたら……
A「あ、ここ……」
私は偶然見つけた場所に
まるで吸い込まれるように入っていった
A「懐かしいな…」
…そこは、まだ私が小学生で悟兄ちゃん達あの家の住人達が出ていく前までよく遊んでいた公園だ
そこでよく鬼ごっこやかくれんぼ…あぁ、缶けりもしたかも
当時苦手だった縄跳びは、運動神経抜群な悟兄ちゃんがここの公園で根気強く教えてくれたから体育の時間がちょっぴり好きになれたんだよな…
私は木陰側にポツンとあるベンチを見つけ
ゆっくり腰かける
この場所は……あぁ思い出した
じいちゃんが座ってた場所だ
私達と公園に来たらじいちゃんは絶対このベンチに座って……
私が
『じいちゃーん』
って時々声をかけると
クシャッと笑って手を振ってくれたんだよな…
でも、そのじいちゃんはもう…
そう思ったらなぜか目頭が熱くなる
A「あれ…おかしいなぁ…」
そう呟くと耐えてきたものが溢れるように温かいものが何度も私の頬をたどった
これは、何の涙？
じいちゃんを失った悲しさ？
じいちゃんが何度も会いに来いって言ってくれたのに行かなかった自分への怒り？後悔？
それとも、あの人達に拒絶されたショック？
……いや、多分全部だ
今まで必死に溜めてきた全部の感情が、この公園に来たことで涙として溢れてしまったのだろう
A「じいちゃん、何で急に私の前から居なくなったの？」
雲ひとつない青空に向かって呼び掛けるが、当然返事は返ってこない
A「何で私を新しい大家にしたの？私なんかがじいちゃんの役割を務められるはずがないのに…
やるんだったら紙切れで伝えるんじゃなくて、私に色々教えて欲しかった」
こんな言い訳をしても遅いのは分かってる
何度もあったじいちゃんの申し出は、新しい住人に会わせることのほかに
もしかしたら、仕事を教えるのが狙いだったのかもしれない
でも、それを断っていたのは他でもない
…私だ
A「じいちゃん、聞いてるんでしょ？
ねぇ、返事してよ！」
私は大声で叫び、人をいないことに安心して
思い切り声をあげて泣いた
だから、私はこの時気づかなかった
誰かが公園に入ってきたことに
そして、自分が座るベンチに座ったことに
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作者名：うめパンダ | 作成日時：2019年11月5日 23時
