私、大家になります！～ARS～ (ページ2)

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きっかけページ2

きっかけは、この家の持ち主、私の祖父が亡くなったことだ

私の祖父は、元々は東京にある大手企業で大学卒業後から定年で退職するまで営業部で働いていた

定年退職後は実家であるこの家に戻り、
残り少ない余生を祖母と息子である私の父、私の母、孫である私と幸せに送るはずだった……

あれは……多分、私が4歳か5歳ぐらいだったと思う
突然、祖母がこの世から居なくなってしまったのだ

まだ50代後半で……
後に父は、私に心臓発作で亡くなったと教えてくれた

それからは、祖父は魂が抜けたような生活をしていた
この家の最寄り駅から一駅離れたところに住んでいた私達は、何度も祖父の家に訪れたが
何を話しかけても全く反応しなかった

そんな様子だった祖父が1ヶ月後
急に自分の家に色々な世代の人間を住まわせ、共同生活を送れるようなことをしたいと私達3人に相談しにきたのだ
いわゆる、現在で言うシェアハウスのようなものだ

しかし、私がまだ小さい頃は「シェアハウス」という言葉はあまり浸透していなかった

どちらかというと、ここ数年でシェアハウスを舞台にした恋愛バラエティ、ドラマが出たり、一緒に住むことで家賃や光熱費等一人暮らしよりも経済的に安く済むという魅力から色々な場所で行われている

まぁ、住む人の事情は人それぞれだけどね？

話を戻すと、祖父はどうやら祖母と暮らした自宅から離れたくないようだ

でも、一人で住むにはあまりにも広すぎる

かといってそんな理由で息子家族をここに住まわせるとなると
色々な面で不便だと感じさせてしまうかもしれないので、
だったら、空いている部屋を赤の他人でも使ってくれた方が……とのことだ

当然、父と母は猛反対。
特に父は住む人がいるかも分からないし、そもそもどんな人かも分からない
そういうやつらに自分がかつて使っていた部屋を使わせたくないと怒っていた。

とはいっても、本当は祖父の身に何かあったらという父の心のうちを祖父は読み取っていたのかもしれない

結局、シェアハウスは決定

ただし、

・新しい人が住むことになった場合は父と母にその住人を紹介すること
・絶対に無理をせず、病気等で続けることが困難になった場合はすぐに止めること

を絶対条件でね……