君に夢中さ (ページ48)

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最近、元気がない海斗の気分転換になればと思って買い物に誘った。

服を見てるときの海斗は久しぶりにテンション上がってて安心したんだけど。

「海斗～？」

トイレから戻ってくると、見たこともないくらい苦しそうな顔で一点を見つめる海斗。

そこにいたのは、どこにでもいそうな若いカップルって感じで。

男が差し出したピアスを耳に当ててふわりと微笑む彼女。

彼女を見つめる海斗を見て一瞬で察した。

ああ、この子がAちゃんかって。

今まで直接その話をしてこなかったけど、こんだけ一緒にいれば何となくわかるよ。

ここ数ヶ月海斗が浮足立ってるかと思えば急に沈んだり。

後ろから覗き込んだらいつも海斗のスマホ上に移ってるのはAの文字。

「好きな子？」

なんて、あえて聞いてみたら、

「…好きだった子。まあ相手は遊びだったみたいだけどね。」

そう言って寂しそうに笑う海斗。

…好きだった、なんて、その顔、全然過去にできてないじゃん。

男同士だし、恋愛とかではないけど海斗は俺にとってすごく大切な存在。

こんな海斗を見てるのがつらかったし、純粋な海斗をそういうふうにした女の子が憎かった。