君に夢中さ (ページ46)

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「それにもし仮に松倉さんが同じ気持ちでいてくれたとしても、松倉さんがアイドルだって知ってしまった以上、これまで通りってわけにはいかないんで。私の存在のせいで傷付く女の子がたくさんいるって思うと耐えられないんです。」

自分でもぐちゃぐちゃで何を言っているのかよくわからなかったけど、元太くんは黙って聞いてくれていた。

「で、何がだめなの？」

「は？」

「アイドルと付き合うことの何がいけないの？」

しばらくして口を開いた元太くんに、失礼だけど今までの話をこの人は聞いていたのだろうか、なんて思ってしまった。

「確かに海斗がAちゃんと付き合うことで傷付く女の子はたくさんいると思うよ。」

「でもさ、普通に考えてアイドルとしてこれから数十年やっていくとして、一度も恋したことなかったら逆にキモくない？笑」

あっけらかんとして言う元太くん。

「いや。10代20代で付き合ったことないはまだ可愛いけど40代とかになって誰とも付き合ったことないですは逆にやばいでしょ。」

真面目な話をしていたはずなのに、なんでこんなに元太くんの答えは全く深くないんだろう。

「…ふふっ。」

思わず笑ってしまった私に。

「それに今ので俺、ちゃんとわかったよ。」

「え？」