君に夢中さ (ページ44)

今日:16 hit、昨日:23 hit、合計:159,144 hit

44 ページ44

「あ。今更ですけど、俺、松田元太って言います。…知ってくれてるかな？」

部屋に入るやいなや、改まって自己紹介してくれる元太くん。

こんな状況で不謹慎だけど、ちょっと笑いそうになる。

「もちろん知ってます。応援させてもらってるので。」

「そっか。」

黙って私が入れたミルクティーを飲んでいる元太くんは、慎重に言葉を考えているようだった。

「単刀直入に言うけど、海斗のこと遊びなら、もう会わないでください。」

「え…？」

予想外の言葉に何て返せばいいのかわからず固まる私に、

「ごめんね。俺、ばかだから遠回しにうまく伝えたりできないしまんま言うけど、」

「気持ちがないならちゃんと振ってやってください。今の海斗、痛々しくて見てられない。」

目の前で応援しているアイドルが私に頭を下げている。

本当にごく普通の大学生である私からするとここ数ヶ月の出来事には頭がついていかない。

「正直、Aちゃんがどんな付き合い方をしているか俺には口出しする筋合いはないよ。だけど、ほんとに俺にとって海斗は大事な奴なんだ。」

「Aちゃんの前での海斗は知らないけど、ほんとはすごくナイーブで傷付きやすい奴だし。」

「だから、最近の君に振り回されて傷付いてる海斗は見てるこっちもつらい。」