君に夢中さ (ページ43)

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「あの、Aちゃんですか？」

なんて、突然後ろから声をかけられてビクッとする。

え？デジャブ？
まるで松倉さんと初めて会ったあの夜みたい。

さすがに叫びはしなかったものの、警戒心Maxで振り返ると。

「え……」

帽子とマスクで多少顔は隠れてるけどオーラが全然隠しきれてない。

そこにいたのは、松倉くんと同じTravis Japanの松田元太くんだった。

最近になってだけど普通にトラジャのファンになった身からすると、いつも画面上で見ていたアイドルが目の前にいることが衝撃で。

松倉さんと初めて会ったときは「アイドル」っていう先入観なしで入ったからまだよかったけど、元太くんは……。

てかなんで私のこと知ってるんだろう。

松倉さんが元太くんに話したとは思えないんだけどな。

考えても正解が出ないことを頭の中でぐるぐると考えていると。

「ちょっと話せない？」

て、優しく微笑む元太くん。

わからないことだらけだし、このままここで立ち話するわけにもいかないから。

元太くんの言葉に静かに頷いて。

「私んち来ますか？」

ありがとう、て綺麗に微笑む彼と一緒に家路についた。