君に夢中さ (ページ39)

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「A、私の友達がAのこと紹介してほしいって言うんだけど会ってみない？」

学食でぼーっとオムライスを食べていたら、スマホを弄んでいた彩華が言った。

「ん…いいよ。会ってみようかな。」

「珍しいじゃん。」

自分から言ってきたくせに、スマホから目を離して驚いた顔で私を見る。

「この前の人となんかあった？」

なんて。勘がするどいんだから。彩華には嘘つけないな。

「やっぱり遊びだったみたい。ま、しょうがないよね。私じゃあの人に釣り合わないもん。」

て、へらへら笑う私を彩華は真顔で見つめてくる。

「…Aは本当にそれでいいの？」

「ん。早く忘れたいんだ。私もそろそろ彼氏欲しいし。」

大学生になってから特に彼氏が欲しいと思ったことはなかったんだけど。

一刻も早く松倉さんのことを忘れてしまいたかった。

今でも松倉さんと出会ったことを後悔はしてないけど、思い出にするにはまだ苦しすぎる。

「Aがそれでいいんなら、私、応援するよ。」

深く聞かない彩華の優しさになぜか涙が出そうになった。