君に夢中さ (ページ33)

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そんなわけで、仕事終わり、Aちゃんのアパートの前。

冷静に考えたら、家の前で待ち伏せって、俺、キモイ？

でもそんなこと言ってられないくらい、俺の中でAちゃんが大きくなっていて。

30分くらいして、見慣れたシルエットの女の子が下を向きながら歩いてきて。

「Aちゃん。」

声をかけると、Aちゃんは持っていたカバンから顔を上げて、びっくりした顔をしたけど、それと同時に複雑な表情になった。

「……松倉さん。」

彼女の瞳が揺れたと思ったら、ぺこっと会釈をして足早に家に入ろうとする。

「ちょっと待ってよ。」

そんなに俺と話したくないのかよ。

そう思うとけっこうショックだったけど、腕を掴んで間近で見た彼女の顔はひどく切なげで。

「なんで最近、連絡返してくれないの？俺、何かした？」

何かした？なんて、勝手にキスしといて白々しいかもしれないけど。

「最近、忙しくて。ごめんなさい。」

なんて、不自然に微笑む君の気持ちがやっぱりわからないよ。

言葉と態度では拒否してくるくせに、俺に会いたかったって顔してるんだもん。

「俺がキスしたから怒ってる？」

て聞くと、持っていた鍵を落として明らかに動揺しちゃってさ。

「Aちゃん、ちゃんと話したい。」

ねえAちゃん。君の本音を聞かせてよ。