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それから数日して、バイト帰り、家の近くでガサゴサ鍵をカバンの中から探しながら歩いていると。
「Aちゃん。」
家の前で急に名前を呼ばれて、振り向く。
「……松倉さん。」
ぺこ、って軽く会釈をして慌てて家に入ろうとすると。
「ちょっと待ってよ。」
松倉さんが腕を掴んできた。
「なんで最近、連絡返してくれないの？ 俺、何かした？」
なんて、泣きそうな顔の松倉さん。
てか今日はなんで帽子もマスクもしてないのよ。
アイドルと知ってしまった以上、本人よりも私の方が冷や冷やしてしまう。
「ちょっと最近、忙しくて。ごめんなさい。」
なるべく不自然に見えないように笑顔を作り、家に入ろうとしたんだけど。
「俺がキスしたから怒ってる？」
松倉さんのド直球な言葉に思わず鍵穴に差し掛けていた鍵を落としてしまった。
まだ20時台だからそこそこ人通りがある中で、そんなこと言うなんて。
ファンの子にもし見られたりしていたら。
「Aちゃん、ちゃんと話したい。」
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作者名：ウマゴリラ | 作成日時：2021年1月7日 3時
