君に夢中さ (ページ25)

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あるページで思わず手が止まる。

「松倉」って文字が見えて、珍しい苗字なのに最近よく見るな、と思ったら。

「松倉さん……？」

Travis Japanと大きく書かれたページに、紛れもなく私が最近出会った松倉さんがいた。

写真の中で屈託なく笑っている松倉さんは間違いなく松倉さんだけど。

「へえ～、Aまつくみたいなのがタイプなんだ？」

なんて、ニヤニヤしながら聞いてくる彩華。

「まつく？」

「Travis Japanの松倉海斗だよ。まつくはほんと可愛いよね。」
「20歳超えてんのに赤ちゃんみたい。恋とか知ってるのかな？」

なんて。

違う。私が知っている松倉さんは。
すごく可愛いけど、それ以上に色っぽくてすごく大人っぽい表情をする人で。

「赤ちゃんになんて見えないよ……。」

「え、そう？」

動揺している私をよそに、彩華は呑気にパスタを食べ続けている。

動揺しているものの、頭の中はなぜかひどく冷静で。

松倉さんがいつも不審者のような恰好をしていたわけも。

わざわざおうちに招待してくれたわけも。

あの年であんな高級マンションに住んでいたわけも。

そして職業を濁していたわけも。

全てがパズルのピースのように繋がった。

そして、あんなに悩んでいたことも、あっさりと結論が出た。