君に夢中さ (ページ3)

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「ほんっっっっっとうに申し訳ありませんでした。」

土下座でもするんじゃないかってくらい深々と頭を下げる女の子。

さすがにストーカーに間違えられて住宅街で大声を出されたときはどうしようかと思ったけど、何とか誤解も解けてよかった。

乗車駅で何かを探しているのかカバンをゴソゴソしていた女の子。目的の物を見つけたのか、足早に改札を通り電車の中へ消えていく。

何となくその様子をぼんやり見ながらちょうど同じ電車に乗ろうとしていた俺は、足元の違和感に気づいた。

拾い上げてみると、クマのキャラクターのキーホルダーがついた鍵。

ほんの数秒前、ここでカバンをあさっていた彼女の物であることは明らかだった。

慌てて彼女に渡そうと電車に乗り込んでみたものの、帰宅ラッシュの満員電車の中じゃ、彼女のそばになかなか近寄ることができない。

人にギュウギュウ押されながら必死に彼女を見失わないように目で追いながら数駅過ぎて。

人ごみの中、駅に降り立った彼女の背中を慌てて追いかけた。