第四話 校舎案内 ページ6
「あそこが理科室で、そこを真っすぐに行ったところが図書室になっているよ」
取りあえず、ホームルームまで時間がまだ余っていたから教室に行く前に僕は獄寺君を連れて校舎を案内していた。獄寺君は返事はしないものの、ある程度の距離を開けながら周りを見て僕の後ろを静かについてきていてくれる。
それがまるで初めて外を見たひな鳥みたいだったから、 少し笑えて肩を揺らす。
これで、うんとかへーとか言ってくれればかわいいのに。
そんな何気ない思いを浮かべながら壁に掛かってる時計に目をやると、そろそろホームルームの時間になっていた。
二階と三階は見終えたし、いい時間かな。
一階までへの階段を降りて、1−Aと書かれた室名札の近くまで行く。ちょうど担任の先生も前方から歩いて来ていて軽く会釈する。
「おはよう、百日紅君。後ろの子が転入生の子かな?」
「おはようございます。はい、そうです」
それと先生、と言葉を繋げて獄寺君には聞こえないように先生の耳元に顔を近づけて「彼、緊張して無口になっているみたいなので大目に見てあげてください」と伝える。
そうすれば、先生は意外そうに僕の後ろにいる獄寺君を見た後に優しい微笑みを浮かべた。
「分かったよ。ありがとうね連れてきてくれて」
「いえ、それでは僕はこれで失礼します」
少し彼が心配だけど、僕も授業がある。またね獄寺君と別れの挨拶を口にし、軽く手を振ってから教室に向かった。
後に獄寺が教室に入って早々、一人の生徒の机を蹴り上げたのを見て、どこが緊張しているんだと先生が顔を引き攣らせていたのをAは知らない。
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天霧(プロフ) - とても面白かったです。次の更新待ってます (2021年6月15日 21時) (レス) id: 8490818b21 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - とても面白かったです。更新頑張って下さい! (2021年3月8日 17時) (レス) id: 26b975bb56 (このIDを非表示/違反報告)
アル - えっ!?すっごい面白いです!続きがめちゃめちゃ気になります!ゆっくりでもいいので更新頑張ってください!楽しみにしてます! (2020年8月17日 1時) (レス) id: 327b6bf4ac (このIDを非表示/違反報告)
moeka(プロフ) - 最近更新がなくて寂しいです。更新してくれたら嬉しいです。待ってます。 (2020年7月16日 3時) (レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
朱咲(プロフ) - 素直に面白いです。更新頑張ってください (2018年3月5日 17時) (レス) id: f509419ddf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空天 馬 | 作成日時:2018年2月1日 22時