第二話 雲雀恭弥 ページ4
時刻は現在、夕方の18時。
元気にグラウンドを走り回る野球部を見ていればやって来た御客人。
「ねえ。君、あの道場何?」
「ああ、雲雀君見てくれたんだね。嬉しいな」
鋭い眼光で僕を睨んでくる学ランを着た風紀委員長に、机の上に肘を付き指を絡めながら、言葉とは裏腹な冷めた視線を送り返す。
この男が言っているのは、道場のド真ん中に竹刀で"バカ"って並べて置いてあったヤツのことだろう。
あの騒ぎの後、僕は防具と竹刀をどうにかしようと考え込んだ。
だけど隠しておくのもどうせすぐ数が減っているから見つかるし、どうしようもないから日頃の彼への鬱憤を晴らすためのメッセージだ。
「雲雀君へのメッセージだよ。気にいってくれた?」
わざとらしく軽口を叩けば、彼のこめかみにうっすら青筋が浮かんでいるのが見えた。明らかに苛立ってるって、顔だ。
「―――咬み殺す」
次の瞬間、キイィンっと鉄と鉄のぶつかり合う音が鳴る。雲雀君の振り下ろしたトンファーの威力は凄まじく、咄嗟に手に取った万年筆で受け止めて鼻先の数センチ手前で止まった。
しかし、息を吐く間もなく、頭上を狙ってもう片方のトンファーを振り落とされる。これだから暴力は嫌いだなんて思いながら、机の上にあったボールペンで受け止めて、弾きかえす。
「危ないじゃないか」
「もうソレ、使い物にならないんじゃない」
「うん?」
突然、雲雀君が不敵な笑みを浮かべて手元を見るから何なんだと思って僕も見る。するとどうだ。そのボールペンは真ん中から上がパキンッと音を立てながら折れた。
あちゃあ。お気に入りのボールペンだったのに。
まさに一触即発。互いに向かいあった状態で、どちらかが少しでも動けば攻撃が始まる。でもそんなの僕には関係ない。早く視界から雲雀君が消えて欲しいと激しく思っている僕は、ポケットに忍び込ませてあるペーパーナイフを突きだそうとした。
――――が、それはこの男の携帯の着信音によって防がれる。
なぁんか、気が抜けて椅子に身体を預ける。それは雲雀君も同じようで構えを収めて生徒会室から出て行った。はーあ。我中学の校歌を着信音にするだなんて、雲雀君ぐらいだろう。
・・・やっぱり彼とは気が合わないや。
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天霧(プロフ) - とても面白かったです。次の更新待ってます (2021年6月15日 21時) (レス) id: 8490818b21 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - とても面白かったです。更新頑張って下さい! (2021年3月8日 17時) (レス) id: 26b975bb56 (このIDを非表示/違反報告)
アル - えっ!?すっごい面白いです!続きがめちゃめちゃ気になります!ゆっくりでもいいので更新頑張ってください!楽しみにしてます! (2020年8月17日 1時) (レス) id: 327b6bf4ac (このIDを非表示/違反報告)
moeka(プロフ) - 最近更新がなくて寂しいです。更新してくれたら嬉しいです。待ってます。 (2020年7月16日 3時) (レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
朱咲(プロフ) - 素直に面白いです。更新頑張ってください (2018年3月5日 17時) (レス) id: f509419ddf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空天 馬 | 作成日時:2018年2月1日 22時