西園寺羽京だけで短編集！【dcst】

企業秘密 ページ8

〈酔い〉


ゲン目線

今日もAちゃんの愚痴は収まることを知らない。

ゲン｢ほら、泣かないで〜｣
A『だって……あぴーぅしてるのに…ぜんぜん、はんのぅしてくんなくぇ…しかも、避けられてぅうぅ〜…！』


ぐすぐすとまた泣き出してしまう。
…大方、Aちゃんの好きな人は分かる。


A『……ゲンくぅ…どーしたら好きになってくれると思う…？』
ゲン｢えっ？あーー…せ、千空ちゃんが分かるって！｣
千空｢…痴話喧嘩に巻き込むな。｣


そーいうとこだよね、ホント。

コハク｢むっ、A！また酔っているのか！｣
ゲン｢そーなんだよねぇ…｣

千空｢つーかまず、お前の好きな奴を知らねぇと何にも出来ねぇ。｣
A『らしかに！』


Aちゃんは隣に置いてあった陽ちゃんのお酒をイッキ飲みして、『ぷはーっ！』と声を上げる。
…あれ、羽京ちゃん帰ってきた。

羽京｢なんのお話？僕も混ぜt…｣
A『羽京君がね、好きらの〜』
ゲン｢ぁｯ…｣

羽京ちゃんの話を遮るようにして、Aちゃんは恥ずかしそうにふにゃっと笑って、後ろにいる本人の名前を出す。


千空｢……げ。｣
A『？ろーしたの、わらしのうしろにお化けでもいるの〜？…………うきょ、くん。』
羽京｢あ、ぇっと……｣

ジーマーの、バイヤーーだよ！
ここでフラれたら場の空気は最悪！
でも！羽京ちゃんならそんなことはしない！が！もし羽京ちゃんに他に好きな人がいたら、それはそれで日曜の昼ドラすぎる！！


ゲン｢…ぁ、あ〜！酒に任せて言っちゃったかな！？友達として、羽京ちゃんが好きなんだよね！！｣
A『え！？あ、うんうんっ！そうなんだよ！』
羽京｢………嘘だ。心拍数までは、誤魔化せないよ。｣

酔いが覚めた、元々物分かりのいいAちゃんは俺の話に乗ってきたが、相手が悪すぎるよ〜！


A『……ご、ごめんｯ！今日は部屋に戻るから…』
羽京｢…─────────。｣
A『えっ、羽京くん！？』
羽京｢シー…ね？｣

Aちゃんは羽京ちゃんの言葉に頷いて、自室へと…いや、違う方角…？
あっちには、俺と千空ちゃんと羽京ちゃ……


ゲン｢……羽京ちゃん、中々やるね…｣
羽京｢ありゃ、バレちゃったか…まあ、これは企業秘密ってことにしといてよ、ね？｣

羽京ちゃんは怪しく笑う。





…ちなみに。後日、案の定Aちゃんはひどい腰痛で作業はお休みしていた。
………付き合った初日からとか、羽京ちゃん…中々男らしいね…

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