西園寺羽京だけで短編集！【dcst】

大きくなったね ページ39

※悲恋※


A目線

A『私が死んでから10周年かぁ…』

私は神社を住まいとする無名の神。
神と名乗ったが実際はただの霊もどき。
霊よりは上だが、強い神には手も届かない。

ま！それでも私がこの神社内で1番強い神なんですけどね！

強いと言っても、何かを出来る不思議な力が…とかそんなアニメチックなことは起きない。

せいぜい起こったのはこの神社の掃除担当が私になったことくらい。

でもここの他の神は気性が荒く、毎日のように「人間喰いてぇ」などを言っている。
多分、人間が来たら喰われてしまうだろうから、私はここの神社に軽い結界を張った。

人間なら寒気がしたり、体調が悪くなったりする程度の結界でも、案外人間はここに来なくなる。

A『暇だなぁ…』

後ろからガサッと音がなる。

A『なーにー？今日はもう掃除はしたけ…ど…』

目の前にててててっと歩いてきた子供。
一瞬新しい神かと思ったけれど、匂いが違う。

A『きみ、どこから来たの？はやく帰った方がいいよ。お母さんとお父さんが心配するし。』
？「ぼくね、おともだちがいなくて…ひとりであそんでたの…」

幼稚園生らしき男の子…だよな。男の子はじわりと涙を浮かべて私を見つめる。
うー、こんなことされたら遊んじゃう…！

私が男の子の頭を撫でようとしゃがんだ瞬間、私よりもずーっと前からいる神…花子と目が合う。
花子はじいっと私を見つめる。

A『花子、帰ってきたら遊んであげるから、この子は秘密にしてね。』

花子はコクリと頷いた。
話は変わるけれど、花子は交通事故で死んでしまった小学2年生の神様。
顔は顎から下が抉れており、喋ることが出来ない。

私は首を絞められて死んだので特に外傷はない。


A『じゃあ行こー！少年くん！』
？「っ、うん…」

少年くんは一瞬顔を顰める。

？「あ、あのね…ぼくね、おみみがいいからこえがきこえちゃうから…えっと…その…」
A『うん、分かった。これくらいなら平気？』
？「！うん！だいじょーぶ！」

少年くんはにぱっと笑う。
んあーーー、母性生まれる…！！

A『そう言えば少年くん。君の名前は？』
？「ぼくね、うきょおっていうの！」
A『おー…！かっこいい名前だねぇ、お母さん達に感謝しなきゃね。』

羽京「うん！」


それにしても…この子は平気そうにしているけれど、神社に入っても体調とか大丈夫なのかな。

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