西園寺羽京だけで短編集！【dcst】

・　　お目汚しイラスト失礼 ページ14

〔Ｄキスあり〕

羽京目線

ゲン「あ、千空ちゃんからだ。
………まただってさ。」
羽京「そうか…やめてって言ってるんだけどなぁ…」

僕は怒ってるんじゃなくて、心配してるだけなのに僕の思いは全く届かない。
…いや、気付いてて火遊びをしているのかもしれないけれど。

クロム「いやー、この後持ち物点検か！いいか羽京、マジでAはヤベーからな！」


定期的に行われる囚人の持ち物点検。
そして、僕の担当は噂の彼女だ。
…気が重すぎる。

ゲン「いや〜、それにしてもやっぱジーマーでAちゃんって可愛いよね〜」
羽京「…彼女だって殺人鬼なんだから、そんな気持ちになったらダメだよ。」

ゲンは「はぁい」と楽しそうに返事をして、他の囚人の元へと走って行った。



A『あら、今回の担当は看守クンなのね。』
羽京「……ああ、そうだよ。」
A『変なところ触らないでね？』
羽京「さ、触らないよ！」

と言ってしまったが、持ち物点検を怠るわけにはいかないから触るのか……と悶々していると、彼女は僕の後ろから足を掛けてきて、僕の襟を掴む。

不味い、油断しすぎたか……！

目をぎゅっと瞑ると、口に柔らかいものが当たった。
恐る恐る目を開けると、異常に近い彼女の顔っ！？

驚きでついつい口を開いてしまった。

羽京「ぅ、ん…っ！や、めろ…！」
A『…っは。慣れてないのね、可愛らしい。』
羽京「っ、他の囚人と同じように遊ばないで。」
A『遊んでないわ。……ねえ、看守クン。もし看守クンのことだけ、好きだって言ったらどうする？』





真っ直ぐとした、決意に溢れた瞳。
どくん、と胸が鳴る。
僕の心音がどくどく五月蠅い。
……あれ、僕ってまさか…


A『！……何でも無い。さ、看守クン、点検してみて頂戴？ああ、別に何処でも触ってもらって平気よ。』
羽京「……ごめん。」


体を弄るも、何も見当たらない。
まあ当たり前か。
脱獄が出来ないのは彼女も知っているだろうし。

羽京｢異常ナシ…っと。｣
A『看守クン。』
羽京｢ん？何？｣

A『…看守クンは昔から誰かに縛られて生きてきたの？それとも、自由に生きてきた？………前者かしらね。』
羽京｢分かっているなら聞かなければいいだろ。｣
A『貴方と少しでもお話ししたかったの。じゃあね。』


そういう気持ちを持ってしまったのは、僕らしい。

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