西園寺羽京だけで短編集！【dcst】

ソックリなすれ違い ページ11

〈夢主もうきょくんもノンセクシャル〉


A目線

いつからだろう。
気付けば目で追っていて、暇があればその人のことを考えて。

A『……はぁ…』
ゲン「やっほ〜」
A『あ、ごめんね、ゲン。別にゲンが来たから溜め息出ちゃったわけじゃないよ。』

ゲン「じゃ、なんでジーマーな溜め息吐いてたのー？」
A『好きな人が、出来たんだよね。』
ゲン「…え！失恋！？」

失礼な。
……まあ、失恋したも同然か。


A『まあ、そんな感じ。』
ゲン「……ちなみに、お相手は？」
A『羽京君だよ。』
ゲン「あー！なるほど納得。」

ゲンはうんうんと頷く。
誰だったら納得してもらえなかったんだろうな。


ゲン「で、何でそんな落ち込んでんのさ。」
A『…私さ、昔っから惚れやすかったんだけどね？…高校だったかな、性的な思いを抱いたことないのに気付いて。』

ゲン「ああ、なるほど。」
A『…でも、高校生の時点では、まあ遅いだけかなって思ってたんだけど、成人してからは可笑しいよ、って言われてきて。』

A『ちょっぴり調べたらノンセクシャルっぽいんだよね、私。』

ゲン「……それで諦めるのは早いんじゃない？羽京ちゃんならそんなの気にしないと思うけどね。俺。なんだろ。「それもAちゃんの個性なんじゃないかな」って言ってくれそうだよ？」

…そう言ってくれたら良いなぁ…
まあ、きっと私が羽京君にそんな性的指向、暴露する訳がないんだけど。












羽京目線

龍水「おい、羽京。なんだ貴様。今日はやけに集中力がないようだな。いや、今日だけではないか。」
羽京「あ、ごめん…迷惑だよね。切り替える。」

龍水「俺はそういう意味で言ったんじゃない。何かあったのか心配しているんだ。」
羽京「…」

真っ直ぐ見つめてくる龍水。
龍水になら、言ってみても良いかもしれない。


羽京「…っ、あのね…好きな人が出来たんだ。」
龍水「おお！おめでたいことじゃないか！」

羽京「…でもね、僕、ノンセクシャルらしいんだ。恋愛感情は抱けるけど、そういうことをしたいとは思えない。」
龍水「ほう、それがどうした？」

羽京「？だから…」
龍水「羽京の想い人は知らんが、羽京がそんなに惚れ込む相手ならば、ノンセクシャルなんぞ気にしないのではないか？……当たるぜ？船乗りの勘は！」


バシーンと指を鳴らす龍水。
……僕にも、これくらい思い切りがあればなあ。
そしたら、あの子に告白できるのに。

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