【コラボ】混ぜても危険物販売取扱所【短編集】 (ページ38)

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伝えないで、いたい。fj ページ38

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『フジくんのどこが好きなの？』

あるとき友人にそんなことを聞かれた。その時の私はまだ友人にも好きな人を隠してて、どうしたの？と適当に誤魔化した。
けれど彼女は笑っていたから、きっと私の事は全部お見通しなんだろな。

隣のクラスのフジくん。名字に『藤』がつくからフジってあだ名なんだって。委員会が一緒で話すようになった。優しくて、でもしっかりしてて格好いい。

君の好きなところはいっぱいあるんだよ。

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「あっ、おはよ。Aちゃん。」
「お、おはよ、フジくん」

今日は、朝から委員会の召集がかかっている。眠い目を擦りながら集合場所の教室に入ると笑顔のフジくんがいた。
眠いね、なんて言いながら私はフジくんの隣へと足を動かす。そこまで近づいて初めて彼がプリントを纏めていることに気がついた。

「フジくん、それ……」
「なんか俺、早く来ちゃってね？暇だったから先に貰ってきたんだ」
「わ、私も手伝うよ！」

慌てて荷物を下ろす私を見て、フジくんは椅子を引いてくれる。ありがとうと微笑んだ君を見てときめいてしまった私は慌ててプリントを引っ付かんだ。

「……みんな遅いね」
「きっと俺達早く来ちゃったんだね。眠くない？」
「眠いよ、フジくんは？」
「ふふ、実は俺も。」

早く目が覚めちゃってねー。
そう言うフジくんだけれども本当は君が理由があって早く来ているんだろうとおもってる。
フジは言わない性格なんだけど、本当は皆の仕事が減るように早く来てるんだよ。こそっとヒラくんがある時教えてくれた。

フジくんの優しさに、私も惹かれるように朝来るのが早くなった。
私が頑張って早く来ても、フジくんは絶対教室にいる。私が早くくる事にも気付いて。でもなにも言わない。

どうせならさっさと終わらせてくれてもいいのに。
それをしないのは私を待ってるのかな、なんて自惚れてもしまう。

私はこの2人の時間が大好きで。
どこが好きなの、と聞いた友達には絶対教えてあげないけど。

この時間が積み重なって、いつの間にか大好きになってたんだとか。
言えるわけ、ないや。

(………恥ずかしいし、ね。)

《君を好きな理由。》