【コラボ】混ぜても危険物販売取扱所【短編集】 (ページ32)

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きみにむちゅー！:zz ページ32

「いいよ、私気にしないから人だから」

所謂、間接キス。少し恥ずかしいが、気にはしない。むしろいいなあ、なんて。

「…っだー！まじか！そうか、そうなのか！！
何かすげー恥ずかしいの俺だけじゃん！」

早口で言ったかと思えば、走ってその場を去ってしまった。代わりに先程私に声を掛けてくれた友人が、こちらへと向かって来る。どことなくニヤニヤしているようになんじる。

「ズズにスポーツドリンクもらった？」
「もらったよ。ズズくんのと私の間違えて渡してたみたいだけど」
「あれさ。Aに意識してもらうために、ワザとやったらしいんだよね」

離れたところで男子の笑い声が聞こえる。それは紛れも無く、ズズくんをからかっているようで、申し訳ない気持ちと先程とは違う、羞恥心でいっぱいになった。
チラリとズズくんの方を見ると、目線が絡み合う。それがどうしようもなく恥ずかしくて、目を逸らした。

「あんた彼氏いないでしょ。ズズと付き合ったら？
うるさいし変態だけど、いいやつだよ」
「た、確かにズズくんはいい人だけど…」

そういう目で見たことがなかった。
ズズくんはいつも部活熱心で、仲間思いで、率先してみんなを手伝ったり、私が買い出し担当になった時も着いてきてくれたり…。
思い返せば、困ってる時にズズくんは、必ず隣に居てくれた。
私が気付かないだけで、ズズくんはずっと気を引こうとしてくれてたのだ。

「私はお似合いだと思うけどな～。ズズとA」
「…恥ずかしいから、やめてよ」

お似合いだなんて言われたら、余計意識しちゃうじゃん。
もう一度、ズズくんの方を見てみたら、リンゴのようにほっぺたを赤くしながら、微笑んでくれた。

その一つで私はもう、君に夢中だ。