【コラボ】混ぜても危険物販売取扱所【短編集】 (ページ19)

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hands ◎ ky ページ19

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一言で言おう。キヨは手が綺麗だ。

「たーだいまあ」

「……」

「はー、疲れたあ…」

今日出たイベントで着たと言うスーツ姿で、チャームポイントとでも言えそうなでっかい声で、自分の帰宅を告げる同棲相手。またの名をキヨ。
テレビを見ていたわたしは、そんなでっかい声が聞こえて振り返った。

「おかえり、…」

「おー…、何見てんだよ」

「…いや、……なんか、スーツかっこいいね」

そこにいたキヨが着ているスーツは、「実況者」である以上まずほぼ着ることのないものだから、見慣れない上にかっこいい。彼女の色フィルターとか、そんなのはかかっていない…はず。

…そしてそんなわたしの「かっこいい」発言に気を良くしたキヨは、「やっぱ高身長はスーツ映えるよなー」とかなんとか言い、少し自慢げな顔をしながら、つけていたネクタイをほどく。

「……」

そんな動作を見ながらもう一度、言おう。
キヨは手が綺麗である。
それのせいか、それともいつも見ないキヨのスーツ姿を見ているせいか、どうしたってそんな動作さえ色っぽく見えてしまう。

「晩飯、どうした？」

「あ、作ってるよ。温める？」

「おー、わり。頼むわ」

ネクタイをソファにかけたキヨは、そのまま手を頭へ持って行き、少し申し訳なさそうに自分の髪をワシャワシャした。疲れてるくせにわたしのこと気遣ってくれるなんて、なんて出来た彼氏なんだ。そう思いながら立ち上がるわたしをよそに、よっぽどスーツが堅苦しかったらしいキヨはベルトもかちゃかちゃとはずし始めた。

その音をなんとなく聞いて、なんとなくキヨの方を見て。…そしたらなんとなく、またその手が目に入った。…なんだろうわたしってば変態っぽい。

「なあ」

「え？な、なに？」

「A、さっきからなに見てんの？」

…ぎくり。

キヨの言葉に、わたしはパッとキヨの手から目線を外し、一度キヨの顔へ視線を向けた。

…そこで見たキヨはやけにニヤニヤしていて、何もかもわかっているような表情をしていた。
ーーーその質問に対して、なんて言えば正解なんだ。なにを言えば満足するんだこれは。

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