【黒尾鉄朗】187センチ前の席《 完結 》

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｢髪、伸ばす予定ありません？｣

サッカー部のアイツと話してて思い出したけどそういやコイツモテるんだったわ。全然タイプじゃねえし後ろの席の変な女子って認識だったから忘れてたけど



｢え？なに？唐突過ぎない？｣
｢まあまあ、で？伸ばしたりしねえの？｣



もし、コイツが髪伸ばしたら俺もアイツらみたいに好きになるかもしんねえな、とかそんなことを思って、ただ興味本位で聞いてみた

俺の思惑なんて知らねえコイツは突然のことに心底不思議そうな顔、そりゃそうだ

とりあえず返事を催促してみると顎に手を当てる仕草をして悩み出した。その仕草とか、無意識になっているアヒル口なんかもコイツのこと好きな男子は可愛いって思うんだろうな




｢んー、とりあえずないかな、このアイドル前髪ワンレンインナー赤で落ち着いちゃってるもん｣

｢へー、ちなみになんですけど、好きな人とか彼氏が髪伸ばしてって言ってきたらどうすんの？｣

｢えー、どうしよう、結構まじで好き具合によるかも｣




当たり障りないこと言って笑って返すコイツは身長いくつかは知らねえけど女子の中でも小柄な方、そんで顔も化粧してるとはいえ所謂アイドル顔

パーソナルスペース狭いしまじでなに考えているか分かんねえときあるけど基本的には無邪気で楽しいことが好きな愛想良いやつ

ありかなしかで聞かれたら殆どのやつはあり、と答えると思う。つうか、普通に夜っ久んの好きそうなタイプだな、って今更ながら思った

あれ、もしかして、夜っ久んコイツのこと好きな可能性ねえ？この前付き合ってるとか聞いてきたのって好きだから確認したとかそゆこと？！！




｢黒尾は？彼女にその髪やめて、って言われたらどうすんの？変えれる？｣

｢あー、これ寝癖だから無理だわ｣

｢あ、それ寝癖なの？やば、ウケるね｣

｢そー、俺の寝癖厄介なのよ｣




とか言っていつもみてえに軽く笑いながらくだらない話していると2限目を知らせるチャイムが鳴った。いつも通り何ともない顔して俺は前を向く、けど心臓はバクバクと音を立てていた

まじで夜っ久ん好きだったら、どうしよ

どうしよ、つうか、特に言われてないとは言え、まじで好きだったら俺鈍感過ぎねえ？ってなるし、夜っ久んに好きだから応援してくれって言われたら応援だって出来るし？！



……いや、出来ねえかもしんねえな



応援したい気持ちは山々だけど、なんか、嫌じゃね？
別に理由なんかねえけど、なんか、嫌だわ

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