【黒尾鉄朗】187センチ前の席《 完結 》

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｢ほんとに来ねえの？｣

｢お前来るとみんなやる気出るんだけどなあ｣

｢帰り！せめて帰りは一緒に帰りません？！｣

｢まじでちょっとで良いから顔出してくんね？な？｣



放課後、本当に見に行く気なんてなかったんだけど執拗いぐらいの黒尾と夜久くんの誘い文句に根負けしてしまい、結局私はこの前と同じように体育館の2階でボールが宙を舞うのを見ている

図書室に行くのは死守出来たし終わらせたかった課題もやったし読みたかった本も借りれたから良いけど

正直、私がバレー部の練習を見に行って何が2人の役に立つのがよく分かんなかった




｢つか立ってるとお前まじで小せえな、見上げて貰っているところ悪ぃけど俺も見下げてて首痛えわ｣

｢は？私はこのミニサイズ気に入ってるんですけど｣

｢あ、そなの？よく黒板届いてなくて不便そうだけど｣




ま、よく分かんないけど私がこの中にいることに意味があるってことなら私は私らしく私でいるだけだから普通に過ごしてよ

なんて思ってせっかく部活見に行ってあげて帰りも校門前で待っていてあげたのに、部員を引き連れて前を歩いていた黒尾はいつもの調子で私を馬鹿にしてくる




｢山本お！ちょっと来てえ！｣

｢え、お、俺ッスか？！｣

｢ちょっと黒尾ムカつくから間立ってて！｣

｢は、はい！｣




だから思わず私達の少し後ろでマネージャーちゃんと話している山本の名前を呼んでしまった

呼んだ後に気付いたけど、お互い黒尾や夜久くん、マネージャーちゃんを通して一方的に知っているだけで話したことなかったわ

もう顔見知りだから何だって良いでしょ




｢おいおい、それじゃ間に入った山本の方が俺より首痛くなるわ、高低差凄くて可哀想｣

｢黒尾と違って山本は優しいからそんなこと思っても言わないもん！｣

｢お前、山本の何を知ってんだよ、つか山本と腕組むのやめなさい、見てみ、爆発しそうだから｣

｢えー？なにー？山本照れてんの？顔真っ赤っか！｣

｢や、え、そ、その｣




そんな話をしながら皆で駅まで行って黒尾達と同じ電車に乗って前と同じように帰った

これ、前と何も変わらないけど良いのかな

なんて思いながら座ってゲームしてたら相変わらず目を合わせてくれないプリンくんに｢俺もこのゲームやってるよ｣って言われて、駄目元で2固定でのバトルに誘ってみたら頷いてくれた

少し懐かれた感じがして嬉しかったけど、プリンくんが話すべき人は私じゃなくてマネージャーちゃんでは？

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