【短編】道端に咲く花【実l況l者】

お洒落な隣【nnc】＊ ページ32

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突然だけど私は隣の席に座るお洒落に恋をしている







大学の講義なんて自由席なのに大体隣の席に座ってくるし、そのくせ私とは話さず近くにいる友達と話したりゲームしたりついったしたり

何で私の隣に毎回来るの？！と疑問に思うがそんなこと聞いたら離れてしまいそうで結局言えずじまい、名前も知らない彼

男なのに自分のことをななこさんやらお洒落やら言うから私の中のあだ名はお洒落、可愛いけど彼はお洒落という言葉が似合う程ではなくて、でも逆にそれが好きだったりもする

そんなある日初めて彼に声を掛けられた、それは私が鞄から筆箱を探している最中、鞄の中身を全て出して探しているときだった






｢これ何の匂いなん？｣

｢え、｣

｢最近俺香水ハマってるんやけどあんま好きなの無くてさあ、ちょっと借りるわ〜｣






そう言って突然私に話しかけたかと思えば机に置いた私の香水を勝手に手首に振りまく、シャボンの良い匂いが人がほぼ居ない広い教室に漂う

てかなんで席いっぱい空いているのに今日もお洒落は私の隣に座るんだろう、もしかして、私のこと、好き、とか？

いやいやないない！と自分で思っておいて自分で否定する、お洒落ごめんね、勝手に都合良いこと妄想してごめん、肩で軽く息をしてまた無心で鞄を漁っていると筆箱を見つけた、するとお洒落も隣で明るい声を上げる






｢あ、これ俺好きやわ、どこの？｣

｢友達から誕プレで貰ったからどこのかは分からないけど多分普通にプラザとかで売ってる安いヤツだよ｣

｢まじでぇ？！え、帰り買って帰ろ、プラザ何かも知らんしどこにあるかも知らんけど｣






え、プラザ知らないの？！と目を丸くさせてしまった、そもそもこのお洒落って何処から来たんだろうと思い始める

関西弁で話しているから関西の方から来たことは分かるけど、プラザ知らないってことはあんまり盛んな所じゃないのかな、なんて少し失礼なことまで思い始めていると隣のお洒落が私の顔を覗き込み、ニッと笑う






｢あ、せや、この講義終わったら俺暇になるんやけど、どう？一緒に買いに行かへん？どうせ暇やろ？｣






私の予定も聞かず突然のお洒落からの誘い、思わず驚いて二度見してしまった、でも、嬉しくて迷わず首を縦に振った、名前も知らないけど好きだから

勿論その日の授業の話なんか全く聞いてなくて、ぽっかりと空いたノートを埋めるためテスト前友達にノートを借りたのはまた別の日の話

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