赤緑短編集

鈍感な2人の恋模様-3 ページ25

「あんな、さっきしげの元カノがしげと付き合ってた時の話してたの聞こえちゃって…そしたら今俺と付き合ってる時とちゃうから…なんか、混乱しちゃって…」
「へぁ」
「もちろんしげは優しいから幼馴染みの俺の失恋を忘れさせてくれるためにとびきり優しくしてくれてるからって事はわかってんねん！！…ただ理解が追い付いてないって言うか…しげが俺にそこまでしてくれる理由がわからんって言うか…」
「この流れでわからんの！？…いや神ちゃんならあり得る…」
「？？しげ？」
「あ、えっと理由！理由な！！えっと…神ちゃん」
さっきまでワタワタしていたしげが息を軽く吐き急に真面目に俺を呼ぶ。突然変わった空気に思わずこちらまで緊張して「はい」と敬語で答えてしまった。
「ずっと…ずっと前から好きでした。この数か月俺と付き合った中で、前言ってた好きな奴より俺に傾いていたら、付き合ってください。」
「え！？」
「えっ？」
「しげ女の子好きなんとちゃうの！？！？！？」
「あ、えっと、実は…神ちゃんを諦めるために告白されたら付き合うようにしててん。彼女作ってみれば変わるかもって…でも全然ダメやった…次こそはって同じ事繰り返して…最低なことしてるってわかってるけど…そんな時昼の流星の話聞いて今動かんと！って必死で神ちゃんの恋人の座をゲットしてん…好きな人と付き合ってるからほんま幸せで…神ちゃんが聞こえた元カノの話が何なのかわからんけど、どうしても神ちゃんを振り向かせたくて、神ちゃんが楽しそうに、幸せそうに俺だけに笑って欲しくて…恋人のデートとかそういうの調べまくってた…」
「そ、そんな…」
「改めて聞かせて？前言ってたあいつが今でも好き？」
「…うん、好き…」
「…そっか」
「だって元々好きなやつ…しげやし」
「え、えっ」
「だから付き合えてほんま嬉しかったし幸せやったし。」
「か、かみちゃ」
「しかもそいつから告白されたらそりゃ今でも好きやって」
「神ちゃんっ」
顔を赤らめたしげが「もうわかったから！」と俺の口に手を当てる。
怒涛の展開についていけへんみたいで今度はしげが混乱する番。
相手がワタワタしているとこっちは逆に冷静になれる。俺の口を覆っていた手をとり、自分の頬へ滑らせる。
ぎょっとした表情のしげが愛おしく「これからもよろしくな？」とほほ笑んだらしげは情けない顔をしながら「ひゃい…」と答えた。

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