赤緑短編集

かくして幕は開かれた ページ17

赤side

最近俺を困らせる人がいる。正確に言うと俺が勝手に困ってるだけでその人は全く悪くない。
その人を見ると、髪はいつもフワフワで触りたくなるから困るし、更にそれが俺のメンバーカラーに染められていると心臓がバクバクして顔は緩んでしまうから困る。
オシャレゆえに私服はその人の魅力を120%引き出していてつい惹き込まれて困ってしまう。
睫毛がぎっしりでクリクリした目で見られると顔が熱くなるから困るうえ、むにゅっとした口に目が勝手に追ってしまうし、その口から発せられる可愛い声はずっと聴いていたくなるから困るのだ。
白くて柔らかい印象の肌は加護欲をそそって困る。身長も良くない。俺より低いからよく上目遣いになるのだ。これは非常に困る。
「それって恋以外にあるん？」
話を聞いていた照史が呆れながら口を開く。
「KOI」
「なんかイントネーション可笑しいけど。恋な。恋愛感情。ラブ。エル オー ブイ イー。」
「いや、いやいやいや。あかん。それはあかん照史。」
「なんでやねん。」
「だって相手は男で俺も男で...」
「でも意識してまうんやろ？もう結構ハマってるんとちゃうん？」
「でも、相手とはずっと一緒に追って...今更...」
「じゃあ1回相手とキスするイメージしてみ。...うはははは！！！答え明白やん！今シゲ顔めっちゃ赤いで！」
ゲラゲラと笑う照史の声すら遠く聞こえる。あかん。照史に言われて、イメージして、そして自覚してしまった。
俺が神ちゃんに恋してるという事に。


そんな情けない自覚をしてから迎えた朝。頭は神ちゃんでいっぱいだった。その上今日は朝からグループでの仕事がある。大きくため息をついて切り替える。神ちゃんはメンバーでシンメだ。いつもの距離感で。神ちゃんにバレないように。役者重岡、行ったります。

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